研究課題/領域番号 |
21390264
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金井 好克 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60204533)
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研究分担者 |
永森 収志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90467572)
大垣 隆一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20467525)
波多野 亮 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (60521713)
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キーワード | 輸送体 / プロスタグランジン / 傍糸球体装置 / 近位尿細管 / レニン |
研究概要 |
本研究は、腎特異的発現を示す近位尿細管側底膜のプロスタグランジン(PG)トランスポーターOAT-PGが近位尿細管上皮細胞内のPG分解酵素15-PCDHと連動して、腎皮質におけるPGE_2局所クリアランスを担いPGE_2シグナルの維持に必須の役割を果たすことを実証する。研究初年度の平成21年度は、以下の結果を得た。(1)ノックアウト(KO)マウスの表現型解析。OAT-PGは、生後発現する分子であり、KOマウスは正常に出産した。KOは、PCR、ウェスタンブロット、免疫組織化学にて確認した。腎には形態的異常や組織学的異常は、見いだされなかった。負荷をかけない状態では、腎皮PGE_2レベル、代謝物量、及び尿中代謝物量には、変化はなかった。(2)KOマウスを用いた腎皮質局所PGE_2クリアランスにおける役割の実証。フロセミド負荷により腎皮質局所のPGE_2を上昇させた状態において、野生型に比してOAT-PG KOマウス腎皮質でPGE_2が蓄積し、PGE_2代謝物が減少した。これに対応して尿中PGE_2代謝物も減少した。さらに、フロセミド負荷後の血中のレニン活性及びアンギオテンシンII値が、OAT-PG KOマウスで上昇した。以上の結果から、OAT-PGは、特に腎皮質でPGE_2が上昇する状態において、腎皮質におけるPGE_2局所クリアランスを担い、レニン値-アンギオテンシン-アルドステロン系の制御に関わることが示唆された。(3)OAT-PGの機能特性の検討。OAT-PGの安定発現細胞を用い、^<14>C-PGE_2の取り込みを指標に、OAT-PGのキネティクス、基質特異性、既存の薬物に対する感受性、及び駆動のメカニズムを明らかにした。(4)OAT-PGと15-PGDHの分子共役の検討。蛍光免疫組織化学を用いて、OAT-PGと15-PGDHの共染色を行い、マウス腎においてOAT-PGと15-PGDHが近位尿細管側底膜で共存することを実証した。これは、細胞画分により確認された。以上のように、初年度の研究において、OAT-PGの生体内での役割が明らかになった。その詳細な解析と病態関連性及び15-PGDHとの共役機序の研究を今後継続する。
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