研究課題
本研究は、腎特異的発現を示す近位尿細管側底膜のプロスタグランジン(PG)トランスポーターOAT-PGが近位尿細管上皮細胞内のPG分解酵素15-PGDH(15-hydroxy prostaglandin dehydrogenase)と連動して、腎皮質におけるPGE2局所クリアランスを担いPGE2シグナルの維持に必須の役割を果たすことを実証するものである。研究第3年度にあたる平成23年度は、以下の成果を得た。1)OAT-PGノックアウト(KO)マウスの解析による腎皮質PGE2クリアランスにおけるOAT-PGの役割の実証。OAT-PG KOマウス腎皮質から調整した単離尿細管懸濁液を用いて、[^3H]標識PGE2の取り込みを測定したところ、ヘテロ、ホモKOマウスでは、野生型に比べて取り込み機能の低下が見られた。対照として測定した[^<14>C]パラアミノ馬尿酸の取り込みには群間の差はなかった。さらに速度論的解析により野生型マウスの腎皮質単離尿細管懸濁液のPGE2の取り込みの親和性がOAT-PGのそれと同等であることが示され、OAT-PGが腎皮質においてPGE2の取り込みを担う主要なトランスポーターであることが実証された。2)OAT-PGと15-PGDHの連携によるPGE2の経上皮代謝の実証。トランスウェルを用いた近位尿細管細胞の初代培養により、PGE2の経上皮代謝を検討した。野生側マウス近位尿細管細胞の初代培養では、上皮の側基底側にPGE2を添加した際には、頂上膜側にPGE2の代謝物が時間依存的に増加したが、ホモKOマウスでは、PGE2代謝物の分泌が有意に低下していた。これにより、近位尿細管側基底側のOAT-PGと細胞内の15-PGDHの連携によりPGE2が代謝され、しかもPGE2は側基底側からOAT-PGによって尿細管上皮細胞内に取り込まれてその代謝物が頂上膜側から排出されることが示された。これは、in vivoにおけるPGE2の経上皮代謝をin vitroで再現したものである。3)KOマウスの血圧変動。OAT-PG KOマウスは、ACE阻害剤の降圧作用に抵抗性を示すという興味深い結果が得られた。これは、今後の新たな研究課題において解析される。
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