研究課題
私たちのグループはDNA損傷修復障害のポリグルタミン病態への関与をこれまで明らかにしてきた。すなわち、DNA高次構造変換ならびにピストンからの解きほぐしに必須なタンパク質であるHMGB1/2が、異常ポリグルタミンタンパク質の発現に伴って核内で減少すること、そしてDNA2重鎖切断修復に主要な機能を果たすKu70が異常ハンチンチンによって機能阻害を受けること、これらの変化に伴ってDNA2重鎖切断が増加し、DNA損傷シグナルが増加すること、を示してきた。本年度においてはポリグルタミン病病態に関与するDNA損傷修復分子をさらに網羅的に検索するために、ショウジョウバエの過剰発現モデルを用いたスクリーニングを行った。これらのショウジョウバエは、ターゲット遺伝子の発現量が比較的均一であるように設計されている。このDNA修復タンパク過剰発現ショウジョウバエライブラリーとSCA1変異遺伝子発現ショウジョウバエ(運動ニューロンに変異遺伝子を発現し、寿命短縮を示す)を交配させて、その寿命ならびに羽化率への影響を調べた。約60個の遺伝子をスクリーニングした結果、5個ほどの遺伝子が2つの試験でレスキュー効果を示すことが示された。現在、これらの遺伝子がどのようなメカニズムでSCA1モデルショウジョウバエの症状を緩和したかという点について詳細を検討している。また、これと併せて、PQBP1変異ショウジョウバエを用いた学習・認知障害のメカニズム解析を行い、PQBP1機能低下がNMDA受容体NR1サブユニットの発現低下を起こし、さらには、学習機能低下につながることを明らかにした。この成果は、Journal of Neuroscienceに公表し、プレス発表も併せて行った。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (25件)
The Journal of Cell Biology
巻: 189 ページ: 425-443
Biochimica et Biophysica Acta
巻: 1804 ページ: 1500-1507
The EMBO Journal
巻: 29 ページ: 2446-2460
Journal of Human Genetics
巻: 55 ページ: 590-599
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 400 ページ: 461-465
The Journal of Neuroscience
巻: 30 ページ: 14091-14101
Molecular Therapy
巻: 18 ページ: 1995-2005
メディカルバイオ「揺らぎと生体機能」
巻: 10月別冊 ページ: 44-48