研究課題
本研究課題は、1)新たなショウジョウバエモデル、マウスモデルを開発して次の段階の治療開発に役立てること、2)既存のショウジョウバエモデル、マウスモデルを活用して、治療開発を実際に行うこと、の2つを目標として来た。2)においては、DNA高次構造変換ならびにヒストンからの解きほぐしに必須なタンパク質であるHMGB1/2が、異常ポリグルタミンタンパク質により機能低下すること、HMGB1の補給がショウジョウバエモデルで有効であることを示した。またDNA2重鎖切断修復タンパク質Ku70が異常ハンチンチンによって機能阻害を受けること、その補給によりマウスモデルの寿命延長をもたらすことを示した。これらはNature Cell BiologyとJ Cell Biolに報告し、プレス発表を行った。さらに、1)については、現在論文作成を急いでいるが、ショウジョウバエの各種のポリグルタミンタンパク質過剰発現モデルを作成してスクリーニング系を確立した。これらのショウジョウバエは、発現させる神経細胞の種類は異なるがターゲット遺伝子の発現量が比較的均一であるように設計されている。このDNA修復タンパク過剰発現ショウジョウバエライブラリーとSCA1変異遺伝子発現ショウジョウバエ(運動ニューロンに変異遺伝子を発現し、寿命短縮を示す)を交配させて、その寿命ならびに羽化率への影響を調べた。約60個の遺伝子をスクリーニングした結果、5個ほどの遺伝子が2つの試験でレスキュー効果を示すことが示された。また、これと併せて、PQBP1変異ショウジョウバエを用いた学習・認知障害のメカニズム解析を行い、PQBP1機能低下がNMDA受容体NR1サブユニットの発現低下を起こし、さらには、学習機能低下につながることを明らかにした。この成果は、Journal of Neuroscienceに公表し、プレス発表も併せて行った。
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