研究課題
先天性筋無力症候群に対するタンパク標的治療法(protein-anchoring therapy)の開発を行った。先天性筋無力症候群の一型である終板アセチルコリンエステラーゼ(AChE)欠損症はAChEをシナプス基底膜に係留するcollagen Q(ColQ)分子の先天的な欠損によっておきる。本症に対する特異的な治療法は存在しない。研究代表者らはヒトCOLQをAAVベクターに組み込み、骨格筋と肝臓に親和性の高いserotype 8 capsidを用いて作成をしたAAV8-COLQウィルス粒子をColqノックアウトマウスに尾静脈より投与した。電気生理学的検討にてMEPP減衰時間の正常化、反復神経刺激におけるCMAP減衰の改善、筋終板電位の正常化を認め、組織化学的検討にて観察をしたすべての神経筋接合部においてAchE/ColQ複合体の発現を認めた。さらに生化学的検討にて骨格筋AChE/ColQ複合体は正常の89%まで回復をしており、その分子構成も正常化していた。さらに運動機能も正常マウスと同等まで治療後3週で回復し、最高1年半効果が持続した。次に、全身への移行が少ないAAVl-COLQを作成し一側下肢に筋注を行いAChE/ColQ複合体の四肢筋への分布を確認した。さらに精製AchE/ColQ複合体を大量に作成しColq-/-マウス臀筋に持続的に筋肉注射を行いAChE/ColQ複合体の前肢を含む全身骨格筋への分布を確認した。タンパク分子自身が標的組織への親和性を持つ細胞外分子の特徴を生かしたprotein-anchoring therapyの有用性を終板AChE欠損症モデルマウスで実証し他の細胞外分子欠損症に応用が可能である可能性を示した。
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