研究課題
高齢化社会での重要な医学的、社会的問題となっているアルツハイマー病認知症に関する研究であり、主として正確な診断法に関する検討を基礎医学的に実施したものである。APP E693Δマウスは、現在主要原因分子として注目されているAβオリゴマーのみを発現するように工夫した新規アルツハイマー病モデルマウスである。これは、大阪変異(E693Δ)をもつ患者分析から得られた遺伝変異を、脳組織とりわけニューロン選択性の特異性が高いプロモーターの作用で発現するコンストラクトを作成し、マウスに導入したものである。モデルマウスの認知諸機能、神経活動、そして脳組織の生化学的分析と脳病理学的検索を実施した。まずwater mazeでの学習記憶試験をした結果、APP E693Δマウスでは記銘力の学習記憶障害が8ヶ月例以後に、経時的に顕著に確認された。また、記憶保持力二層等するプローブ試験でも有意に低下していることを観察した。ついで、姫路獨協大・薬・松山正剛先生との共同研究でシナプスでの長期増強作用(LTP)を検討した結果、non-Tgマウスでは正常であったLTP作用が、APP E693Δマウスではほぼ完全に障害されていることが観察された。さいごに、凍結脳組織を用いた生化学的検索であるSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動および転写後の抗体検出をしたところ、Aβオリゴマーの有意な上昇が認められた。脳神経病理でも、ノースウェスタン大学Klein博士より供与された抗オリゴマー抗体による免疫組織化学的検索を実施した結果、APP E693ΔマウスではAβオリゴマーのニューロン細胞内の異常蓄積が加齢と共に、行動異常の出現時期と同じくして確かめられた。
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