研究課題/領域番号 |
21390271
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
森 啓 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10159189)
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研究分担者 |
松山 正剛 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (80243319)
磯 博行 兵庫医療大学, 共通教育センター, 教授 (80068585)
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キーワード | アミロイド / 遺伝変異 / モデルマウス / 認知症 |
研究概要 |
本研究は、高齢化社会での重要な医学的、社会的問題となっているアルツハイマー病認知症に関する研究であり、主として正確な診断法に関する検討を基礎医学的に実施したものである。具体的には、脳画像で現れる脳萎縮といわゆる中核症状と説明されている記憶障害についての基礎医学的解析を実施した。まず、脳萎縮は、神経脱落に起因するニューロン細胞死が原因で生じることが知られている。本研究では、その原因が細胞内Abオリゴマーの異常蓄積であることをしめし、その作用機構が、小胞体ストレス、細胞な輸送機構の破綻だけではなく、ミトコンドリア機能障害に由来する可能性を強く示唆することができた。さらに、記憶障害という臨床症状については、同じく細胞内Abオリゴマーの異常集積によってシナプス機能の破綻が生じることが原因であることを示した。このことは、シナプス特異分子であるシナプトフィジン免疫染色によって形態学的に、準定量的に示すことができた。さいごに最近、生活習慣病によってアルツハイマー病の発症リスクが上昇することが議論されはじめ、いくらかの疫学的調査は脂質異常証、高血圧、糖尿病のリスクを示唆してきている。本研究では、アルツハイマー病モデルマウスに高コレステロール食餌を与えた場合、アルツハイマー病の最初期変化である細胞内Abオリゴマーの異常蓄積が加速されることを示すことができた。その結果、記憶障害のテストである空間学習能力、シナプスフィジン低下、異常リン酸化タウの上昇が生じることを明らかにした。
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