研究課題
本年度は、parkinノックアウトマウスとMPTPで処理したマウス(パーキンソン病(PD)モデル)のin vivoボルタメトリーを使ったドパミン遊離の解析とドパミントランスポーター(DAT)阻害剤ノミフェンシンを使った行動異常の是正の有無を検討した。我々が開発したslip rod testを用いることで運動学習能力を検討した。MPTPマウスではドパミンの枯渇量に依存して運動学習能力が低下した。またアポモルフィンを投与すると前シナプスのD2受容体刺激によりドパミン遊離が低下して運動学習能力が向上しないことが分かった。ノミフェンシン投与では運動学習能力は改善した。このslip rod testを用いることで薬物の治療効果を判定できる(Shiotuki et a1. J Neuroscience Methods in press)。またPark9の原因遺伝子ATP13A2の遺伝子改変モデルマウスの作成に取りかかり作成に成功した。現在、解析を始めた。一方、in vitro系での解析ではPark2と6の遺伝子産物parkin、PINK1は協働して異常ミトコンドリアのクリアランスに関与していることが分かった。言い換えればparkinもPINK1もmitophagyに関わっていることが予想された。Mitophagy効果を示すにはparkinがミトコンドリア外膜に集積することが重要であり、集積効果を示すのにPINK1の存在が必要であることが分かった(Matsuda et a1. J Cell Biol in press。新規パーキンソン病(PD)モデルとしてIron response protein 2(IRP2)のtransgenic miceとparkin knock out miceを交配して行動異常、そしてドパミン低下の有無を検討した。その結果、加齢に伴い細胞脱落、ドパミン低下が観察され、行動異常もドパミン低下に伴い観察された。更に我々はミトコンドリア電子伝達系の複合体Iの24-kDaサブユニット(NDUFV2)のノックアウトマウスを作成し、神経毒であるMPTPに対する感受性が高いことを見出した。ミトコンドリア機能低下がバックグラウンドにあるマウスとして今後、遺伝性PDの遺伝子改変モデルと交配する予定である。
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Journal Of Neuroscience Methods (In press)
Journal of cell biology (In press)