研究課題
Elov16は炭素数12-16の飽和および一価不飽和脂肪酸を基質とする脂肪酸伸長酵素である。我々はElov16欠損マウスの作製・解析により、このマウスでは肝臓での脂肪酸組成の変化により、肥満や脂肪肝の改善に依存しないインスリン抵抗性の改善が認められた。また、Elov16欠損マウスでは高ショ糖食の摂食量が増加する予備結果が得られ、脂肪酸組成の変化が食事嗜好性に関与る可能性が示唆された。そこで本研究では、Elov16欠損による脂肪酸組成の変化がエネルギー代謝関連遺伝子の発現やイシスリン感受性、食餌嗜好性に及ぼす影響を分子レベルで解明し、従来の脂肪酸の量的側面のみならず、細胞内脂質の質的変化による栄養代謝制御や生活習慣病治療戦略を開発することを目的とした。本年度は、組織特異的なElov16の機能解析のためのElov16 floxedマウスの作製に取り掛かり、その樹立に成功した。現在、Albumin-Cre Tgマウスとの交配により肝臓特異的Elov16欠損マウスの作製を開始している。また、Elov16の生活習慣病における役割を検討するモデルとして、レプチン欠損ob/obマウスおよびレプチン受容体欠損db/dbマウスとElov16欠損マウスとの交配動物を作製し、その表現型を解析している。Elov16の欠損によりob/obマウスやdb/dbマウスの高血糖や高インスリン血症が改善されることか確認でき、その分子機序を現在解析中である。食餌嗜好性については、Elov16欠損マウスで高ショ糖食への嗜好性が増加することを、摂食量測定装置を用いた経時的観察および普通食と高ショ糖食の選択実験において確認した。このとき、野生型マウスと比較してElov16欠損マウスでは異なった視床下部の神経興奮パターンを示すことが観察され、てれがどのよりな機能を持つ神経なのか解析中である。
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