本研究は可溶型ファミリー受容体による新規の動脈硬化治療を展開するための分子基盤を明らかにすることを課題とした。 1)ファミリーによるAngII/PDGF/TGF-β制御と細胞骨格・運動機能の関連 これまでに、LR11ノックアウトマウス大動脈より酵素法により培養血管平滑筋細胞を単離調整し、3-7代培養後SMアクチン染色によりLR11^<-/->平滑筋細胞を同定した。AT1R、PDGF-β受容体特異抗体を用いた免疫学的同定を行い、AngII、PDGF-BB刺激による細胞内シグナルと細胞遊走、細胞接着等を解析した。それぞれの刺激によるアクチン染色、uPAR/integrin共染色解析を終了した。細胞内アクチンフィラメントの経時的イメージング条件設定に着手した。 2)血中sLR11の血管傷害における機序 12-16週齢雄マウスの大腿動脈にカフ設置し、1週ごと6週まで設置部位を摘出し組織切片を作成した。内膜/中膜比を測定し、血管傷害後の内膜肥厚の推移と血中sLR11濃度変化を解析した。あわせてELISAシステムを用いた血中sLR11測定系を確立した。 3)脂肪組胞におけるLDL受容体ファミリーによる脂肪蓄積および炎症性サイトカイン産生 LR11^<-/->マウスに高脂肪食負荷4週後の腸間膜、傍精巣および皮下脂肪組織を摘出し、重量、脂肪蓄積量を測定した。それぞれの脂肪組織の組織学的変化を同定し、その原因と考えられる褐色脂肪特異蛋白に対する免疫染色の条件設定を着手した。 以上の成果は、本研究計画で予定した動物解析、細胞解析に沿ったものであり変更なく予定通り終了した。
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