研究課題
本研究は可溶型ファミリー受容体による新規の動脈硬化治療を展開するための分子基盤を明らかにすることを課題とした。1)可溶型ファミリー受容体によるサイトカイン反応性と運動機能の関連動脈硬化の形成過程において、平滑筋細胞の遊走、増殖は侵入マクロファージと密接な相互関係のもとで機能修飾を引き起こす。平滑筋細胞から発現する可溶性受容体LR11のマクロファージ機能に及ぼす効果を検討した。THP1細胞にリコンビナント可溶性LR11を添加すると、細胞表面上のウロキナーゼ受容体の局在が増大した。そこで、細胞におけるLR11とウロキナーゼ受容体の複合体形成を調べたところ、免疫沈降反応において両者は複合体を形成することが明らかになった。THP1細胞におけるウロキナーゼ受容体のシグナル伝達インテグリンであるCD11bとウロキナーゼ受容体との関連を検討したところ、LR11siRNA処理細胞でCD11b/ウロキナーゼ受容体複合体形成が抑制され、リコンビナントLR11添加で回復することが明らかになった。以上から、平滑筋細胞発現可溶性LR11はマクロファージ運動機能を制御し動脈硬化を修飾する可能性がある。今後マクロファージ運動能における修飾作用と機序を検討する予定である。2)脂肪細胞におけるLDL受容体ファミリーによる脂肪蓄積および炎症性サイトカイン産生LR11^<-/->マウスに高脂肪食負荷4週後の腸間膜、傍精巣および皮下脂肪組織を摘出し、重量、脂肪蓄積量を測定したところ、LR11^<-/->マウスは野生型マウスに比べて脂肪量が少なく、とりわけ皮下脂肪の減少が明らかであった。その組織像を解析したところ、皮下白色脂肪で多房性の脂肪蓄積を示した。このことは、LR11^<-/->マウスでは、白色脂肪細胞の分化障害により脂肪蓄積および炎症性サイトカイン産生が変化する可能性を示す。今後、摘出した脂肪細胞の遺伝子発現および初代培養システムを確立し、LR11^<-/->マウス脂肪細胞の白色脂肪細胞分化能を解析する予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Mol Genet Metab.
巻: 102 ページ: 229-231
Atherosclerosis
巻: 210(2) ページ: 581-584
Dement Geriatr Cogn Disord.
巻: 30 ページ: 28-32