研究課題/領域番号 |
21390282
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
寺内 康夫 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40359609)
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研究分担者 |
木村 真理 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (40363840)
青木 一孝 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60336542)
伊藤 讓 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00512980)
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キーワード | グルコキナーゼ / インスリン抵抗性 / 膵β細胞 / グルコキナーゼ活性化薬 / IRS-2 |
研究概要 |
グルコキナーゼ活性化薬(GKA)による糖尿病治療の可能性に注目が集まっている中、われわれはGKAが糖代謝を改善するのに加え、膵β細胞増殖作用も有していることを明らかにした。そこでGKAの膵β細胞増殖作用におけるIRs-2の役割について検討した。INS1細胞に低グルコース下でGKAを加えたところ、GKA投与により濃度依存性にBrdU取り込み率が増加し、BrdU取り込み率と並行にIRS-2発現量も増加した。野生型マウスの単離膵島においても、GKA投与によりCREBのリン酸化、IRS-2発現、さらにはPDK1、 PDX-1, Cyclin D familyの有意な発現上昇を認めた。次にIRS-2欠損マウスに高脂肪食または高脂肪食にGKAを混合させた特別食を負荷したところ、高脂肪食にGKAを混合させた特別食群は高脂肪食群に対し、投与開始後すぐに随時血糖の有意な低下を認め、負荷後20週の段階でも随時血糖の有意な低下が持続した。一方、体重、肝内中性脂肪含量、肝内グリコーゲン量には差を認めなかった。OGTTにおいてもGKA特別食群で耐糖能が改善しており、その際のインスリン血糖比もGKA特別食群で有意に高値であった。さらにIRS-2欠損マウス膵島において、GKA投与群で有意にグルコース応答性インスリン分泌能が増強した。膵β細胞量は高脂肪食群とGKA特別食群で差を認めなかったが、高脂肪食負荷後のGKA短期投与ではIRS-2欠損マウスの膵β細胞で明らかな増殖能は認められなかった。GKAはCREBのリン酸化を介してIRS-2の発現を上昇させ、細胞周期制御因子に作用して膵β細胞を増殖させることが示唆された。
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