研究課題
転写因子GATA1は、複数の標的遺伝子の発現を包括的に制御し、赤血球や巨核球、好酸球、肥満細胞それぞれの分化に重要な役割を担っている。GATA1は、アミノ(N)末端側転写活性化領域(TAD)と、DNA上のGATAコンセンサス配列への結合や共役因子との相互作用に重要な2つの亜鉛フィンガーの、3つの機能ドメインを持っていることがわかっている。本年度は、GATA1のカルボキシ(C)末端領域もまた、GATA1の転写活性化能に寄与していることを明らかにした。さらに、N末端TADとC末端TADのそれぞれを欠失した変異体(dNT、dCT)を作出し、GATA1欠失マウスと交配することで、dNTまたはdCTのみを発現する複合遺伝子改変マウスの解析を行い、胎生期のGATA1機能には、N末端TADとC末端TADの両方が重要であることを見いだした。また、上記の複合遺伝子改変マウスのマイクロアレイ解析を行い、N末端TAD欠失により制御が損なわれる遺伝子と、C末端TAD欠失により制御が損なわれる遺伝子は必ずしも一致しないことを見いだした。このことは、それぞれのGATA1の標的遺伝子には、N末端TADとC末端TADが協調して機能する遺伝子と、それぞれ一方のみの機能により制御されている遺伝子に分類できること、さらには、GATA1が複数のTADを使い分けて標的遺伝子の発現制御を行うことが赤血球造血の恒常性維持に重要であることを示唆している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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