研究課題
【1】Protein C変異体(PC-Tottori)の機能解析:活性化PC(APC)は第Va因子、第VIIIa因子を分解し、血液凝固反応を制御する。本研究では、Lys192残基が欠損したPC-Tottoriの機能異常の分子機構について検討した。その結果、APC-Tottoriのアミド分解活性とPS非存在下での第Va因子分解活性は野生型APCと同程度あったが、PS存在下での抗凝固活性は低下していた。また、APC-TottoriはPSに対する結合能が有意に低下しおり、APC分子上のLys192残基は、PSとの結合に重要であることが明らかになった。【2】ギャップ結合(GJ)が血管内皮細胞の組織因子(TF)の発現に及ぼす影響の解析:GJを介した細胞間相互作用は、生体の恒常性維持に重要と考えられている。本研究では、血管内皮細胞における炎症刺激によるGJ構成蛋白質コネキシン(Cx)分子の発現量変化、TF発現に及ぼすCx分子の影響を解析した。その結果、腫瘍壊死因子(TNF-α)刺激によってCx32の発現量が減少すること、TNF-α誘導性のTF発現は、抗Cx32抗体処理によって促進され、抗Cx43抗体処理によって抑制された。以上の結果から、血管内皮細胞のTF発現をCx32が抑制し、Cx43が亢進することが明らかになった。【3】Cx分子が血小板の活性化に及ぼす影響の解析:血小板は創傷治癒における生理的な血栓形成に重要である。本研究では、血小板の活性化の新規分子機構を明らかにするため、血小板におけるCx分子の発現と血小板活性化に及ぼすCx分子の影響を検討した。その結果、血小板にはCx32とCx43が発現し、GJ阻害剤は血小板の活性化を抑制することが認められ、Cx分子が血小板の活性化に影響を与えていることが明らかになった。
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