研究概要 |
慢性骨髄性白血病(CML)細胞株(K562,KCL22)において、低酸素条件下(1%O_2)での長期培養に適応し、増殖可能となった亜株、K562/HAおよびKCL22/HAを樹立した。K562/HA及びKCL22/HAでは、BCR-ABLリン酸化、及び、ATP産生は親株に比し低下していた。一方、解糖系における細胞障害性副産物Methylglyoxalを乳酸に変換することで無毒化する酵素、Glyoxalase-I (GLO-I)は発現、活性ともに亢進していた。K562/HA、KCL22/HAは親株に比しアルキル化剤、及び、各種ABL TKIによる細胞死誘導に抵抗性を示した。しかし、GLO-I阻害剤であるCOTC (2-crotonyloxymethyl-4,5,6-trihydroxycylohex-2-enone)、methylgerfelin、BBGC (S-p-bromo-benzylglutathione cyclopentyl diester)による細胞死誘導に対しては、親株に比してより高度な、あるいは同等の感受性を示した。また、K562/HA株を移植したin vivoマウスモデルにBBGCを投与したところ生存期間の延長を認めた。また、従来のABLチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブ、ダサチニブ、およびニロチニブに抵抗性を示す遺伝子変異 T315Iを有するCML細胞に対する新規オーローラキナーゼ阻害剤AT9283のin vitroでの効果を検討したところ、有意にその増殖を抑制することを明らかにできた。
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