研究課題
IL-4産生が高いマウスと低いマウスを比較することにより、アレルギー体質に関連する遺伝子として転写因子Minaを同定した。アレルギーに「なりやすい」、あるいは「なりにくい」といった体質への遺伝的要因の関与がこれまでも論議されてきたが、そのメカニズムは明らかにされていなかった。我々は、Th2優位な系統としてBALB/cを、Th1優位な系統としてB10.D2を用い、BALB/c系統にB10.D2をもどし交配を重ねることにより、BALB/cの遺伝的背景を持つコンジェニックマウスを作製し、それぞれのコンジェニックマウスの中で、Th1優位なB10.D2の表現型を持つマウスを構築した。T細胞からのIL-4産生能を表現型として、染色体16番目の染色体上の限局した30Mbの領域に、T細胞からのIL-4産生能と非常に高い連鎖関係を持つ場所を見いだし、DICE(Determinant of IL-4 commitment)とした。150遺伝子のDICE領域内に存在する遺伝子において、マイクロアレイを用い、BALB/cとB10.D2間に存在するうち、60遺伝子についてmRNAの発現パターンが異なるものを検索した。その結果、発現パターンが異なる遺伝子Minaが同定された。IL-4産生が低い系統では、T細胞でMinaが高発現するため、アレルギーの発症に重要なIL-4の産生を抑制されている。一方、IL-4産生が高い系統のT細胞ではMinaの発現が低いため、IL-4の産生が抑制されずアレルギーを発症しやすくなる。マウスのアレルギー体質が、Mina遺伝子の多型性によって決まることを明らかにすることが可能となったことから、ヒトでも同様に、Mina遺伝子の多型性がアレルギーに「なりやすい」、あるいは「なりにくい」、といった違いを生み出していることが推察され、日本人を対象とした解析では、遺伝的連鎖が確認された。
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