研究課題/領域番号 |
21390306
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 孝 北里大学, 大学院・感染制御科学府, 教授 (00292855)
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研究分担者 |
石垣 靖人 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (20232275)
村山 次哉 北陸大学, 薬学部, 教授 (60159184)
高野 文英 金沢大学, 薬学部, 准教授 (20236251)
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キーワード | ウイルス / 感染症 / 脂質 / 免疫学 / 遺伝子 |
研究概要 |
1,ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)感染細胞を用いたスタチン作用に関わるマイクロRNA(miRNA)レベルでの解析:ヒト胎児肺線維芽細胞とhCMV(Towne株)およびスタチン(mevastatin-1.0μM)との共培養を行い、感染後9⇒24⇒48時間に細胞miRNAを抽出してmiRNAデータベース(miRBase Release 16)に基づいたチップを用いて、宿主由来miRNAの発現変動を網羅的に解析した。その結果、感染前初期⇒後期の全工程を通じプラセボと比較して2倍以上発現が亢進したヒトmiRNAとしてhsa-miR-146a/hsa-miR-34a*/hsa-miR-34b*が確認され、2倍以上発現が低下したmiRNAとしてhsa-miR-142-3p/hsa-miR-141/hsa-miR-602/hsa-miR-513a-3pを認めた。Targetscanを通じて発現亢進したmiRNAが標的とするmRNAをリスト化した所、hsa-miR-146aの標的mRNAとしてケモカイン・リガンドであるCCL5が存在することが判明した。このCCL5mRNAは、前年度での遺伝子発現アレイ解析にても発現亢進が確認されている遺伝子である。リアルタイムRT-PCR法によるhsa-miR-146aの発現亢進やWBでのCCL5タンパクの発現低下が見られたことから、スタチンによるhCMV複製抑制はhsa-miR-146aの発現亢進を介したCCL5の発現低下により発揮される可能性が示唆された。一方、ウイルス由来miRNAの発現変動としてhcmv-miR-UL112の亢進を認めたことから、スタチンの抗ウイルス作用機序としてhcmv-miR-UL112の発現亢進を介したhCMVタンパクIE72の発現抑制の経路も想定された。 2,インフルエンザウイルス(Flu)感染細胞を用いたスタチンの抗ウイルス作用機序の解析:ウイルス産生量の低下が確認されたイヌ腎細胞とFlu(PR8株/AG株)・スタチン(mevastatin-1.0μM)との共培養において、遺伝子発現に関する網羅的なアレイ解析を実施した。その結果、宿主細胞内のウイルス核酸の感知機構であるretinoic acid-inducible gene I (RIG-I)の強を認めたことから、パターン認識受容体を介したI型インターフェロン誘導がスタチンの作用機序として示唆された。
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