研究課題
細胞核の中に入らず、細胞質内で自らのゲノムを複製して大量のタンパク質を作り出すセンダイウイルスベクターを用いて、PTPN11遺伝子変異を有するJMML患者のcultured CD34陽性細胞にOCT3/4、SOX2、c-MYC、KLF4、green fluorescent protein (GFP)をtransfectionした。放射線照射マウス胎児線維芽細胞をfeeder細胞として、20%knockout serum replacementとbasic fibloblast growth factorを含むhuman ES mediumで培養したところ、CD34陰性でPTPN11遺伝子変異陽性の細胞集塊が多数形成された。これらの細胞はOCT3、NANOGのCpG部位がほとんどunmethylatedであった。ES細胞に特徴的な分子とされるNANOG、GDF3、DPPA4の発現が認められた。また、明らかなテロメラーゼ活性を示したことから、iPS細胞にcompatibleと考えられた。AGM-S3細胞上で、day 0-4まではBMP4、day 4-6はSCF、VEGF内で培養し、day 6以降はSCF、TPO、GM-CSFで培養した。Day 20に産生された培養細胞をflow cytometryで解析したところ、80%以上の細胞がCD45陽性で、一部の細胞は骨髄系抗原であるCD33を発現していた。現在、症例数を増やしてより多くの骨髄系細胞の増殖分化が可能な培養条件について実験を進めている。iPS細胞からCD34陽性細胞をより多く得るための培養システムの開発も同時に進めた。9例のJMML (PTPN11,5例;RAS,4例)の末梢血を用いて、CD34^+細胞を分離後、SCF+TPOを含むAGM-S3マウスストローマ細胞と共培養を行った。全例においてCD34^+細胞が増殖し、14日目における増幅率は22.5±9.9倍であった。増幅されたCD34^+細胞の90%以上はCD38陰性であり、GM-CSFreceptorおよびc-kitが陽性であった。このday 14 CD34^+CD38^-細胞は冷凍保存が可能であった。これらの結果は今までに無い画期的な成果であった。現在、NOGマウスの移植実験を行なっている。
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