研究概要 |
再生不良性貧血においては制御性T細胞(Treg)が減少しており、その結果血液幹細胞を傷害する自己反応性の活性化T細胞が出現する。Tregとしては、CD4+CD25+Foxp3+T細胞だけでなくCD8陽性T細胞中の制御性T細胞も同定され、免疫に関与する疾患におけるCD8陽性Tregの関与の解明が病態の理解および治療法の開発に必要である。現在のところCD8陽性Tregを同定する良いマーカーが存在しないことが、CD8Tregが関与する病態解明の研究を困難としている。マウスとヒトの両方でCD8TregがIL-10を産生すること、IL-10ノックアウトマウスにおいては、CD8Tregによる免疫抑制効果が失われることから、CD8陽性T細胞中の内在性IL-10陽性細胞の数はCD8Tregの数と相関することが推測される。 我々は、CD8Treg数の測定法として、末梢血単核球をCD3/CD28磁気ビーズを用いて刺激し、フローサイトメトリー法を用いて内在性IL-10陽性CD8T細胞を同定する手技を確立した。正常健常成人においてはIL-10陽性CD8T細胞は中央値5.1%(1.2-6.8%)であった。またIL-10産生CD8T細胞のみならず、IL-10産生CD4T細胞、IFNg産生CD8T細胞、IFNg産生CD4T細胞も同時に測定しCD4Treg,CD8Treg,エフェクターT細胞との関係を検討することが可能となった。現在、正常小児におけるIL-10陽性CD8T細胞の正常値の決定を行っている。また再生不良性貧血および小児における免疫の関与する疾患(川崎病、インフルエンザ、喘息など)でIL-10産生CD8陽性T細胞の検討を行う倫理委員会申請中である。
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