研究概要 |
小児再生不良性貧血(再不貧)患者においては、その60-70%が免疫抑制療法に反応することから造血障害に免疫機序が関与すると考えられる。制御性T細胞(Treg)は生体のホメオスタシスを担っており、その減少や機能の低下は自己免疫疾患を惹起すると考えられ、いくつかの自己免疫疾患において、数の減少や低下が報告されている。再不貧患児50名および健常人コントロールの末梢血単核球を分離しCD4,CD25,Foxp3抗体で3重染色しフローサイトメトリーで測定し、治療前、IST後、移植後のTreg変化を検討した。小児再不貧患者における治療前末消血中のCD4+/CD25+/FOXP3+制御性T細胞は0.64±0.59%と正常対象者の1-85±0.79%と比較して有意に低かった(p=0.0006)。またIST6ヶ月後、SCT100日以後においてTregは1.36±1.01%(p=0/01),1.89±1/33%(p=0.0005)と有意に回復していた。我々は、CD8Treg数の測定法として、末梢血単核球をCD3/CD28磁気ビーズを用いて刺激し、フローサイトメトリ法を用いて内在性IL-10陽性CD8T細胞を同定する手技を確立した。再不貧に対するは抗胸腺細胞グロブリン(ATG)はウマ由来からウサギ由来に変更されたが、1stライン治療としてのウサギATGの適正量は明らかでない。小島が研究責任者として、重症および最重症再生不良性貧血患者に対するウサギ抗胸腺細胞グロブリン(サイモグロブリン,Genzyme)前方視的ランダム化用量比較多施設共同研究を日本、中国、韓国の血液内科、小児血液腫瘍科との国際共同臨床試験として平成24年度より開始する。名古屋大学小児科は、事務局、中央診断施設、ウイルス定量およびTreg同定の中央検査施設として舳患者におけるTregの関与に関して附随研究を行う。
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