研究課題
乾癬は皮膚科領域を代表する疾患であり、表皮の過増殖、血管内皮の過剰増殖、炎症性細胞浸潤を特徴とし、炎症性角化症に分類される。NF-κBは、TNF受容体、IL-1受容体、Toll-like receptor(TLR)、紫外線照射などの下流に存在し、抗アポトーシス作用に加えて、種々の免疫反応、炎症反応において重要な働きを持つことが知られている。乾癬病変部に大量のTNF-αが存在すること、TNFシグナル伝達経路を阻害する生物学的製剤が乾癬の治療に有効であること、TNFシグナル伝達系におけるNF-κBの重要な役割を考えれば、乾癬の発生機序に、NF-κBが関与していることが予想される。乾癬発生機序におけるNF-κBの役割を、NF-κBのnegative regulatorであるBcl-3およびIκBNS欠損マウスを用いて乾癬モデルマウスを作成し、また培養表皮細胞を用いたin vitro実験を加えて、明らかにすることを目的とする。IκBNS欠損マウスを用いて乾癬モデルマウスの作成とその解析を行った。IκBNS欠損マウスを交配にて増殖させ、欠損マウスを40匹以上得た。これらのマウスの背部を剃毛し、8mmパンチにて全層皮膚欠損を作製した。コントロールと比較して創傷治癒遅延と創周囲の紅斑が認められた。TPA誘発モデルについては背部を剃毛後、TPAを週に2回背部に塗布し、合計3週間塗布した。塗布終了後1日目、7日目、14日目、21日目に背部の皮膚を採取し組織学的に検索した。TPA塗布終了時には皮膚の肥厚、紅斑、鱗屑と過角化がみられた。組織学的検索では過角化、錯角化、表皮の肥厚と真皮内炎症性細胞浸潤が認められ、尋常性乾癬の病変と類似していた。21日目には正常皮膚に回復していた。
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