研究課題/領域番号 |
21390328
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
戸倉 新樹 産業医科大学, 医学部, 教授 (00172156)
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研究分担者 |
中村 元信 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30303837)
島内 隆寿 産業医科大学, 医学部, 非常勤助教 (90399204)
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キーワード | リンパ腫 / 皮疹 / AID / マイクロRNA / HTLV-1 / 菌状息肉症 / 成人T細胞白血病 |
研究概要 |
菌状息肉症やSezary症候群を始めとする皮膚T細胞性リンパ腫は、長い経過で腫瘤あるいは紅皮症に進展する。また成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)は母子感染などでHTLV-1ウイルスのキャリアとなり、成人になって皮疹を呈するようになる。これらの皮膚リンパ腫の発病、進展、増悪の病態生理については未だ十分には解明されていない。AIDという蛋白は最近発癌に大きく関与していることが提唱された。さらにウイルス関連の癌においてAIDが重要な役割を演じている可能性がある。microRNAはゲノムから転写された後に複数の酵素類の作用で短い完成型になる。ターゲットとなるmRNAと結合することでmRNA分解や蛋白質翻訳阻害に関わることが示唆されている。最近の研究では、microRNA-155がAID mRNAの非翻訳領域に結合しAIDの発現を負に制御していることが明らかとなっている。そこで本研究では、ATLL、菌状息肉症、セザリー症候群の患者から採血しリンパ球を分離した後、mRNA、microRNAを抽出、AID mRNA、microRNA-155の発現量をreal-time PCR法により測定、コントロールである健常人リンパ球における発現量と比較した。さらに患者リンパ球をMACS法によりCD4-、CD4+CD25-、CD4+CD25+細胞に分離、それぞれの分画のAIDmRNA、microRNA-155の発現量を測定した。生検時の患者皮膚、リンパ節検体の一部のAID mRNA、microRNA-155の発現量も測定した。AIDはATLLの腫瘍細胞であるCD4+CD25+T細胞で高発現であり、菌状息肉症ではそれより有意に低値であった。これに呼応するようにmicroRNA-155はATLLの腫瘍細胞で顕著に発現が低下していた。加えてAIDが高発現している腫瘍細胞においてp53遺伝子変異を確認した。
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