研究概要 |
本研究の目的は,ヒト造血幹細胞の放射線感受性の個体差と細胞に発現する表面抗原,増殖能及び遺伝子の特徴との関連を解明し,個々の感受性を規定する因子は何であるかを解明する事にある.3年間の研究により以下の点を明らかにした. 1.ヒト造血幹・前駆細胞の放射線感受性は,総前駆細胞数と逆相関し,特に未熟細胞のTie-2発現との相関が示唆された. 2.ヒトCD34陽性細胞に発現するNrf2関連遺伝子の多くは放射線によって上昇し,さらにそのうちのNQO1の初期発現はその個体の放射線感受性と有意に相関する事が明らかとなった. 3.ヒト末梢血由来造血前駆細胞の放射線感受性と性別及び年齢との関連性を検討したところ,前駆細胞数と放射線感受性との間に正の相関を認めた.また,男女間に放射線感受性の差は認められなかったが,0.5Gy照射の場合の前駆細胞の生存率は年齢と共に低下した.
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