研究課題
放射線治療による抗腫瘍効果を、直接作用による腫瘍の細胞死に加えて、生体の免疫応答を介した間接的な抗腫瘍効果を含めて再評価することにより、放射線治療をさらに進化させ、化学療法のみならず免疫細胞治療を併用し、免疫応答を介した生体に与える効果を増幅し、全身的な治療効果が期待できる集学的な治療法を「免疫化学放射線治療」として開発することを目的として本研究を実施した。B16メラノーマ担癌モデルマウスにおいて、腫瘍に2Gyの電子線照射を施すと、未治療の腫瘍と比較して腫瘍体積は66%に抑制することが可能であったが、CTL治療を併用すると、腫瘍体積は9.9%に抑制され、強い抗腫瘍効果が得られた。B16特異的CTLを移入して腫瘍内に免疫応答を誘導すると、免疫応答を抑制すると言われているGR1+CD11b+Myeloid Derived Suppressor Cell(MDSC)が浸潤してきた。フローサイトメーター(FACS)を用いて解析したところ、腫瘍内にはTumor associated macrophage(TAM):CD11b+Gr-1-Ly6c,granulocytic MDSC(G-MDSC):CD11b+Gr-1++Ly6c+,monocytic MDSC(Mo-MDSC):CD11b+Gr-1+Ly6c+が存在し、特にMo-MDSCが腫瘍内に誘導され、Arginase、iNOS、VEGF、IL-6を産生し免疫応答を抑制することが明らかになった。放射線治療とCTL治療を併用すると、MDSCの誘導が抑制され、腫瘍内の抗原特異的なCTL浸潤が増強し、抗腫瘍効果を担うIFNγの産生が増加した。このような免疫反応の増強が放射線治療の効果の増強につながることが明らかになった。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (10件)
International journal of cancer
巻: 129(5) ページ: 1126-36
DOI:10.1002/ijc.25775
International journal of urology : official journal of the Japanese Urological Association
巻: 18(6) ページ: 412-13
DOI:10.1111/j.1442-2042.2011.02762.x
The Journal of experimental medicine
巻: 208(8) ページ: 1605-20
DOI:10.1084/jem.20102101
Surg Today
巻: 41 ページ: 606-11
DOI 10.1007/s00595-010-4478-7
J Vis Exp.
巻: pii ページ: 3182
doi:10.3791/3182