研究課題
進行がんにおいて予後を左右する最も大きな要因は、治療後に残存する腫瘍および転移の有無であり、治療抵抗性腫瘍の評価は治療計画において重要な情報となる。本研究は、放射線治療や化学療法の適応となる進行がんの治療計画に、ポジトロンCT(PET)を用いた機能診断を積極的に取り入れ、集学的治療による進行がんの治療成績向上を図ることを目的として行った。腫瘍組織の特異性を非侵襲的に可視化・診断するため、細胞増殖能、低酸素、受容体活性などの分子イメージング的手法を臨床腫瘍診断に取り入れ、通常の糖代謝活性を反映するFDG-PET画像以外の様々な腫瘍活性の画像化と、その臨床応用を図った。主な業績は以下の通りである:1)頭頸部がん患者を対象に、^<62>Cu-ATSMPETを用いて腫瘍低酸素組織を画像化し、FDG-PET画像と比較することで、腫瘍全体の広がりに加えて治療抵抗部位である低酸素部位の分布の違いを腫瘍毎に明らかにした。また、病理組織毎にそれぞれの分布パターンが異なることを明らかにした。(Clin Nucl Med,2012に論文発表)2)子宮筋腫・肉腫の鑑別を目的とした検討で、エストロゲン受容体(ER)発現とブドウ糖代謝が逆相関することを明らかとし、ブドウ糖代謝とER発現密度の比を示す指標がMRIを上回る診断精度で肉腫の鑑別が可能であった。(Eur J Nucl Med Mol Imaging,2011に論文発表、2011年米国核医学会(SNM)で最優秀ポスター賞受賞)3)新たに開発された細胞3D培養法を、臨床的に有用性の高い低酸素腫瘍組織モデルの基礎的検討に応用し、従来の2D(平面)培養では得られない腫瘍の特性を明らかにした。(Biomaterials,2011に論文発表)
すべて 2012 2011 その他
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