研究課題
現在X線CTに用いられているヨード造影剤の多くは比較的分子量の小さい低分子であり、投与後速やかに血管内から細胞外液に拡散し、血管内から消失する。一方、組織の血管構築や虚血性変化、癌の血管新生を画像化するためには、血管内に比較的長く留まる造影剤が望ましいと考えられるが、X線造影剤でのこのような検討は少ない。そこで、本研究課題では、高い造影能を有したまま、血管内滞留性の高い新規X線CT造影剤の開発を目的として検討を行った。昨年度、高い血中滞留性と薬物保持能を有する機能性ナノ粒子であることが知られているポリエチレングリコールで修飾した球状高分子(デンドリマー)を用いヨウ素付加ポリエチレングリコール化デンドリマーについて検討した。その結果、水溶液中で高いCT造影効果を示すことが示されたが、インビボでは脱ヨウ素化されることが判明した。そこで、今年度は金を付加することによって、新規機能性CT造影剤の作製を行った。その結果、ポリエチレングリコース修飾ポリアミドアミンデンドリマーを鋳型として用い、その内部で金イオンを還元することで金ナノ粒子内包ポリエチレングリコール修飾デンドリマーを調製した。さらに、この金ナノ粒子をデンドリマー内で成長させることで、高いCT造影効果を示すことが示された。これをマウスの尾静脈から投与したところ、市販のヨウ素造影剤と比較して長時間血管を造影できることが明らかとなった。
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Res.Chem.Intermed
巻: 38 ページ: 1279-1289