非造影MRAに関しては、今年度は3T-MRI装置に適した撮像法の確立を目的とし、子宮動脈よりも広径な頸部および上腹部で検討をまず実施した。外頸動脈の描出に関する検討では、外頸動脈およびその分枝がスピンラベリング(T-SLIP法)を併用したSSFPで良好に描出されることを示し、そのTI=1200ms程度が至適な撮像条件と考えられることを報告した。また、骨盤部への応用を見据え、まず本年度は上腹部MRIにおいて、T-SLIP法を併用した非造影MR portographyに関して、T-SLIP法の部位およびinversion timeを最適化することにより門脈を良好に描出する方法を検討し成功、さらに撮像法による違いを検討し報告した。さらにSSFP+T-SLIP法による非造影肝動脈MRAについては、2D parallel imagingを用いても画質を損なうことなく撮像時間を短縮可能であることを示した。骨盤部MRIの基本画像であるT1強調画像(T1WI)は3T-MRIではコントラストが変化する。その改善を目的に、まず頭部で検討を行い、スライス間隔が脳SE-T1WIの皮質-白質コントラストに影響を与えることを示した。この結果は体幹部の画質改善に応用しうると考えられる。子宮の生理機能に関する基礎的検討では、子宮筋層の持続的収縮がみられる症例で子宮内膜および筋層へのFDGの取り込みが亢進していることが明らかとなり、その状態を画像コントラストや血流変化として捉えうると考えられた。また原発性不妊症例において、MRシネ画像で子宮の蠕動異常を呈する例が多いことを示し、蠕動抑制作用のある抗コリン剤を投与後に体外受精に成功した3症例を報告した。不妊治療に画像診断が貢献しうることを示した点で画期的と考えられる。
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