研究概要 |
ジェネレータより得られる^<68>Gaを標識核種とするPET薬剤の開発を目指し、本研究では、標的組織の認識部位と金属核種結合部位とを一分子内に独立して有する二官能性キレートという分子設計概念の基に、安定なGa-DOTA錯体において2つのカルボキシル基が錯体形成に関与していないことに着目して、このカルボキシル基に、機能性分子を導入するという新規薬剤設計を確立する。本年度は、悪性腫瘍に発現するケモカイン受容体、CXCR4リガンドペプチドAc-TZ14011を導入したGa標識化合物の開発を計画した。DOTAの1,7位のカルボキシル基を選択的に保護した誘導体とAc-TZ14011とをジメチルホルムアミド中、室温で24時間反応させた後、保護基を脱保護し、さらにHPLCにて精製することにより、DOTA-(Ac-TZ14011)2を得た。比較対照として、ペプチドを1分子のみ導入したDOTA-Ac-TZ14011も併せて合成した。次に、DOTA-(Ac-TZ14011)2およびDOTA-Ac-TZ14011を、硝酸ガリウムと室温にて3日間反応させ、非放射性Ga錯体を合成した。得られた非放射性Ga錯体について、^<125>I-stromal cell derived factor-1αを用いた競合ラジオアッセイ法によりCXCR4に対する阻害活性を算出した。その結果、Ga-DOTA-Ac-TZ14011と比較して、Ga-DOTA-(Ac-TZ14011)2は、約100倍以上高い阻害活性を有することが示され、所期の目的通り、マルチメリック効果に基づく親和性の向上が示された。
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