研究課題/領域番号 |
21390348
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中山 守雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60164373)
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研究分担者 |
原武 衛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (40325668)
荒野 泰 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90151167)
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キーワード | アミロイド / アルツハイマー病 / カルコン / SPECT / 分子イメージング |
研究概要 |
本年度の研究では、臨床診断上汎用性の高いアミロイドβ(Aβ)イメージングプローブの開発を目的として、フラボノイド化合物の中でもカルコン骨格を母核とした新たな^<99m>Tc標識化合物を設計・合成し、そのアミロイドイメージングプローブとしての有用性について基礎的検討を行った。 まず、^<99m>Tcとの錯体形成部位であるmonoamine-monoamide dithiol(MAMA)及びbis-amino-bis-thiol(BAT)を導入したカルコン(CH)誘導体を4種類を作製し、その構造を推測するために同属元素であるReの錯体も合成した。^<9m>Tc-glucoheptonateとの配位子交換反応により^<99m>Tc標識体を得た。^<99m>Tc標識体および対応するRe錯体をHPLC分析により比較し、得られた^<99m>Tc標識体の構造を推測した。これら4種の^<99m>Tc標識カルコン誘導体は、Aβ(1-42)凝集体を用いたインビトロ結合実験から、Aβ(1-42)凝集体に対する結合親和性を有することが示された。その結合親和性には、導入するアルキル鎖の長さの違いによる差異が認められたが、錯体部位の違いによる差異はほとんど認められなかった。正常マウスを用いた体内放射能分布実験においては、4種の^<99m>Tcカルコン誘導体は投与後早期における脳への移行性と、その後のクリアランスを示した。その脳移行性には、分子量及び錯体部位の違いによる影響が認められた。特にBATを配位部位とするカルコン誘導体は良好な脳内放射能挙動を示した。 以上の結果より、本年度開発した^<99m>Tc標識カルコン誘導体は、アルツハイマー病の診断を目的とするAβイメージングプローブとしての基本的性能を有することが示された。また、本検討結果は、今後の^<99m>Tc標識Aβイメージングプローブの開発に有益な情報を提供するものと考えられる。
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