研究課題
近年、プロテオーム解析を用いた血中の癌の早期診断マーカー探索が数多くなされているがいまだに臨床応用に至った例はない。その主な原因として、血液や尿中に存在する真に有用な腫瘍マーカーが非常に微量で、通常の網羅的解析ではそれらを検出することが困難であるからだと思われる。そこで本研究では、癌組織に特異的に発現するタンパク質にターゲットを絞り、血中に分泌あるいは漏出する微量な腫瘍マーカー候補タンパク質.ペプチドをSRM/MRM法を用いて、検出・定量することを目的とする。平成23年度は昨年度までに行ったヒト大腸癌・乳癌組織の膜タンパク質画分を用いた大規模なバイオマーカー探索によって同定され候補タンパク質のうち、大腸癌では110個、乳癌では49個の細胞膜タンパク質と分泌タンパク質について、SRM/MRM法を用いた大規模検証を行った。さらに、そのうち大腸癌と乳癌それぞれ2タンパク質ずつについて、抗体を用いたウエスタンブロット、免疫染色でも検証した。大腸癌の2タンパク質については、1000症例をこえる組織アレイの免疫染色も行い、大腸癌だけでなく、他のいくつかの癌でも発現増大していることを見出した。その結果を論文にまとめ、1報は投稿し、もう1報は準備中である。さらに、上記の実験で検証されたバイオマーカー候補タンパク質が血中で検出されるかどうか検討した結果、いくつかのタンパク質の血清中での検出に成功した。現在それらのタンパク質が大腸癌・乳癌のバイオマーカーとなりうるか症例数をふやして検討中である。
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