研究概要 |
<糖鎖抗原の解析>レクチン*アレーを利用して、ブタの血管内皮(PEC)および繊維芽細胞の解析を行った。野生型ブタ-ヒト間の比較では、ブタはαGalと関連するEEL, GSI-B4だけでなく、末端GalNAc(Tn抗原を含む)を示すSBA, HPA, WFA, GSI-A4のシグナルに特徴的に高値を示した。一方ヒトは、内皮でα1,2フコースやα2,3シアル酸を認識するUEA-1及びMALが高値を示した。Gal-KOと野生型の比較では、Gal-KOは全部の細胞で、αGalだけでなく末端のGalNAcやGalβ1, 3GalNAcの減少を示した。また、内皮ではα2, 6シアル酸を示すSNA, SSA, TJA-Iが上昇し、繊維芽細胞ではThomsen-Friedenreich (T)抗原を示すPNA, MPAが高値を示した。 <保存実験>ブタのESTのdataを参考に、PAI-2をのクローニングを行ない、配列を決定した。また、PECに遺伝子導入し、cell lineを作製した。現在、抗アポトーシス効果を検討している。 <PERVの制御>同じく、ブタのDol-P-Mannosidase (DPM)のクローニングを行い, 全長の配列を決定し、次にsiRNAを設計し, PECに導入した。siRNAの導入により, PECでのブタDPMのmRNAの発現の減弱を認め, HEK293細胞へのPERV感染性を最大87%抑制し得た。次に, 構築したsiRNA入のplasmidの導入によりcell lineを作製した。Permanentのlineでも同じく、ブタDPMのmRNAの発現の減弱を認め, HEK293細胞へのPERV感染性を最大95%抑制することを確認した。N型糖鎖生合成経路の制御を利用したPERV感染制御の有効性が示唆された。
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