広範囲癌種に対する分子標的治療開発のためのGli1分子の機能解析

2011 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21390363
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 外科学一般
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
• 研究分担者: 中村 雅史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30372741) ; 久保 真 九州大学, 大学病院, 助教 (60403961) ; 野村 政壽 九州大学大, 学病院, 講師 (30315080) ; 大西 秀哉 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30553276)
• 研究期間 (年度): 2009 – 2011
• キーワード: Gli1 / Hedgehogシグナル / 膵癌 / 胃癌 / 乳癌 / 腫瘍幹細胞 / 浸潤 / 治療標的分子

研究概要

Hedgehog(Hh)シグナル系の標的遺伝子かつ転写因子であるGli1は、種々の癌種において高発現している。その理由の一つは、Hhシグナル系路が炎症や内分泌系路など種々のシグナル系とクロストークしていることによる。本研究においては、(1)膵癌におけるNF-kB系路活性化によるShh発現誘導を介するGli1発現亢進、(2)大腸癌および胃癌におけるGli1発現誘導によるWntシグナル系抑制、(3)乳癌および胃癌におけるEstrogenレセプター経路活性化を介したGli1発現亢進、(4)低酸素環境によるSmo発現亢進を介するGli1発現誘導、(5)胃癌においては、癌組織浸潤単球によるShh発現を介した胃癌細胞のGli1発現誘導などを明らかにした。また、Gli1の生物学的機能として、(1) Gli1発現亢進による膵癌、乳癌、胃癌の増殖能および浸潤能亢進、(2)膵癌および乳癌における悪性化進展への関与、(3)乳癌幹細胞の薬剤抵抗性および造腫瘍能への関与などを明らかにした。これら研究成果は、Gli1が広範囲の癌種あるいは癌幹細胞に対する治療標的となる可能性を支持している。

研究成果

• [雑誌論文] Hedgehog inhibitor decreases chemosensitivity to 5-FU and gemcitabine under hypoxic conditions in pancreatic cancer (2012)
  • 著者名/発表者名: Onishi H, Morifuji Y, Kai M, Suyama K, Iwasaki H, Katano M
  • 雑誌名: Cancer Science 巻: (in press)
  • 査読あり
• [雑誌論文] Semi-quantitative evaluation of CD44+/CD24-tumor cell distribution in breast cancer tissue using a newly developed fluorescence immunohisto-chemical staining method (2011)
  • 著者名/発表者名: Kai M, Onishi H(7人中2番目), Katano M(7番目) et al
  • 雑誌名: Cancer Science 巻: 102 ページ: 2132-2138
  • 査読あり
• [雑誌論文] Hedgehog signaling pathway as a therapeutic target invarious types of cancer (2011)
  • 著者名/発表者名: Onishi H, Katano M
  • 雑誌名: Cancer Science 巻: 102 ページ: 1756-1760
  • 査読あり
• [雑誌論文] Hypoxia activates the hedgehog signaling pathway in a ligand-independent manner by up regulation of Smo transcription in pancreatic cancer (2011)
  • 著者名/発表者名: Onishi H(9人中1番目), Katano M(9番目) et al
  • 雑誌名: Cancer Science 巻: 102 ページ: 1144-1150
  • 査読あり
• [雑誌論文] GLI1, a crucial mediator of sonic hedgehog signaling in prostate cancer, functionsas a negative modulator for androgen receptor (2011)
  • 著者名/発表者名: Chen G, Nomura M(10人中10番目) et al
  • 雑誌名: Biochem Biophysis Res Commun 巻: 404 ページ: 809-815
  • 査読あり
• [雑誌論文] Hedgehog signaling pathway mediates the progression of non-invasive breast cancer to invasive breast cancer (2011)
  • 著者名/発表者名: Souzaki M, Kubo M, Kai M, Kameda C, Tanaka H, Taguchi T, Tanaka M, Onishi H, Katano M.
  • 雑誌名: Cancer Science 巻: 102 ページ: 373-381
  • 査読あり
• [雑誌論文] Hedgehog signaling pathway in neuroblastoma differentiation (2010)
  • 著者名/発表者名: Souzaki R, Katano M(9人中8番目) et al
  • 雑誌名: Journal of Pediatric Surgery 巻: 45 ページ: 2299-2304
  • 査読あり
• [雑誌論文] Raloxifene induces nucleoral translocation of the estrogen erceptor (2010)
  • 著者名/発表者名: Gushima M, Nomura M(5人中4番目) et al
  • 雑誌名: Mol Cell Endocrinol 巻: 319 ページ: 14-22
  • 査読あり
• [雑誌論文] Oestrogen receptor-αcontributes to the regulation of the hedgehog signaling pathway in ERa-positive gastric cancer (2010)
  • 著者名/発表者名: Kameda C, Nakamura M, Tanaka H, Yamasaki A, Kubo M, Tanaka M, Onishi H, Katano M
  • 雑誌名: British Journalof Cancer 巻: 102 ページ: 738-747
  • 査読あり
• [雑誌論文] Nuclear factor kappaB-activated monocytes contribute to pancreatic cancer progression through the production of Shh (2010)
  • 著者名/発表者名: Yamasaki A, Kameda C, Xu R, TanakaH, Tasaka T, Chikazawa N, Suzuki H, Morisaki T, Kubo M, Onishi H, Tanaka M, Katano M
  • 雑誌名: Cancer Immunology Immunotherapy 巻: 59 ページ: 675-686
  • 査読あり
• [雑誌論文] The Hedgehog signaling pathway plays an essential role in maintaining the CD44+ CD24-/low subpopulation and the side population of breast cancer cells (2009)
  • 著者名/発表者名: Tanaka H, Nakamura M, Kameda C, Kubo M, Sato N, Kuroki S, Tanaka M, Katano M
  • 雑誌名: Anticancer Research 巻: 29 ページ: 2147-2157
  • 査読あり
• [雑誌論文] The hedgehog pathway is a possible therapeutic target for patients with estrogen receptornegative breast cancer (2009)
  • 著者名/発表者名: Kameda C, Tanaka H, Yamasaki A, Nakamura M, Koga K, Sato N, Kubo M, Kuroki S, Tanaka M, Katano M
  • 雑誌名: Anticancer Research 巻: 29 ページ: 871-879
  • 査読あり
• [学会発表] :Hedgehogシグナル系を標的とした大腸癌治療法開発のためのGli1/Gli3の生物学的意義の解析 (2011)
  • 著者名/発表者名: 岩崎寛智
  • 学会等名: 第111回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 誌上開催
  • 年月日: 20110500
• [学会発表] 新規治療法開発のためのEstrogen receptor aおよびHedgehogシグナル系の乳癌進展における生物学的意義の解析 (2011)
  • 著者名/発表者名: 宗崎正恵
  • 学会等名: 第111回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 誌上開催
  • 年月日: 20110500
• [学会発表] 低酸素環境における膵癌悪性化に対するヘッジホッグシグナル系の関与 (2011)
  • 著者名/発表者名: 大西秀哉
  • 学会等名: 第24回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: ダイワロイネットホテル和歌山
  • 年月日: 2011-12-01
• [学会発表] Reoxygenationによる膵癌の悪性度亢進にHedgehogシグナルが関与する (2011)
  • 著者名/発表者名: 森藤良浩
  • 学会等名: 第24回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: ダイワロイネットホテル和歌山
  • 年月日: 2011-12-01
• [学会発表] 大腸癌におけるGli3の生物学的意義 (2011)
  • 著者名/発表者名: 岩崎寛智
  • 学会等名: 第24回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: ダイワロイネットホテル和歌山
  • 年月日: 2011-12-01
• [学会発表] :Hedgehogシグナルに対する低分子ペプチドを用いた制御法の開発 (2011)
  • 著者名/発表者名: 中村雅史
  • 学会等名: 第24回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: ダイワロイネットホテル和歌山
  • 年月日: 2011-12-01
• [学会発表] :エクソソームの癌治療への応用(依頼講演:シンポジウム) (2011)
  • 著者名/発表者名: 片野光男
  • 学会等名: 第84回日本生化学会
  • 発表場所: 国立京都国際会館
  • 年月日: 2011-09-22
• [学会発表] DCISの発癌・浸潤における新たな予防標的Hedgehogシグナル系の重要性 (2010)
  • 著者名/発表者名: 宗崎正恵
  • 学会等名: 第18回日本乳癌学会学術総会
  • 発表場所: ロイトン札幌
  • 年月日: 20106024
• [学会発表] 半定量的蛍光免疫組織染色法開発と臨床応用の可能性～乳癌幹細胞制御療法へ向けて～ (2010)
  • 著者名/発表者名: 甲斐昌也
  • 学会等名: 第23回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場
  • 年月日: 2010-12-10
• [学会発表] Hedgehogシグナル系は低酸素環境による膵癌悪性化に関与する (2010)
  • 著者名/発表者名: 大西秀哉
  • 学会等名: 第23回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場
  • 年月日: 2010-12-10
• [学会発表] 乳癌進展におけるEstrogen receptor a及びHedgehogシグナル系の生物学的意義の解析 (2010)
  • 著者名/発表者名: 宗崎正恵
  • 学会等名: 第23回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場
  • 年月日: 2010-12-09
• [学会発表] :定量的蛋白発現解析法の開発と癌幹細胞制御療法への応用の可能性:乳癌幹細胞解析例 (2010)
  • 著者名/発表者名: 甲斐昌也
  • 学会等名: 第48回日本癌治療学会学術集会
  • 発表場所: 国立京都国際会館
  • 年月日: 2010-10-28
• [学会発表] 広範囲癌腫に対する浸潤制御のための新規標的分子:Gli1 (2010)
  • 著者名/発表者名: 大西秀哉
  • 学会等名: 第65回日本消化器外科学会総会
  • 発表場所: 海峡メッセ下関
  • 年月日: 2010-07-15
• [学会発表] 定量的免疫染色法の開発～乳癌幹細胞標的療法への応用の可能性～ (2010)
  • 著者名/発表者名: 甲斐昌也
  • 学会等名: 第18回日本乳癌学会学術総会
  • 発表場所: ロイトン札幌
  • 年月日: 2010-06-25
• [学会発表] Hedgehog(Hh)シグナル系を標的とした「乳癌幹細胞制御療法」の可能性 (2010)
  • 著者名/発表者名: 田中晴生
  • 学会等名: 第18回日本乳癌学会学術総会
  • 発表場所: ロイトン札幌
  • 年月日: 2010-06-25
• [学会発表] Effect of TGF-b1 expressed on tumor-derived exosomes on survival and function of regulatory T cells (2010)
  • 著者名/発表者名: Onishi H
  • 学会等名: ASCO Annual' 10 Meeting
  • 発表場所: Mccormick place, Chicago
  • 年月日: 2010-06-07
• [学会発表] 低酸素環境における膵癌浸潤能に対するhedgehog(Hh)シグナル経路関与の可能性 (2010)
  • 著者名/発表者名: 大西秀哉
  • 発表場所: ホテルニューオータニ大阪
  • 年月日: 2010-05-21
• [学会発表] 広範囲癌腫に対する分子標的治療法開発のためのGli1の分子機能解析 (2010)
  • 著者名/発表者名: 岩崎寛智
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2010-04-09
• [学会発表] 胃癌におけるEstrogen receptor a(ERa)とHedgehog経路との新たな連関 (2010)
  • 著者名/発表者名: 亀田千津
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2010-04-09
• [学会発表] 非浸潤性入管癌の進展・発育におけるHedgehog signal系の関与:治療への展開の可能性 (2010)
  • 著者名/発表者名: 宗崎正恵
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2010-04-09
• [学会発表] Hedgehog(Hh)シグナル系を標的とした「乳癌幹細胞制御療法」の可能性 (2010)
  • 著者名/発表者名: 田中晴生
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2010-04-09
• [学会発表] :腫瘍浸潤単球および膵癌細胞の両者を標的とする膵癌組織治療法の開発:Hedgehogシグナル系制御法 (2010)
  • 著者名/発表者名: 山崎章生
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2010-04-08
• [学会発表] 癌局所低酸素環境を考慮した癌免疫療法の可能性:Hedgehogシグナル系制御 (2010)
  • 著者名/発表者名: 荻野利達
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2010-04-08
• [学会発表] 癌組織における腫瘍関連分子発現の定量的解析法の開発:乳癌幹細胞制御療法開発のためのHedgehogシグナル系解析例 (2010)
  • 著者名/発表者名: 甲斐昌也
  • 学会等名: 第110回日本外科学会定期学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場
  • 年月日: 2010-04-08
• [学会発表] Hedgehog signaling pathway is a new target of cancer stem cell therapy for breast cancer patients (2009)
  • 著者名/発表者名: Tanaka H
  • 学会等名: 32nd Annual CTRC-AACR San Antonio Breast Cancer Symposium
  • 発表場所: San Antonio, Texas
  • 年月日: 2009-12-10
• [学会発表] 胃癌におけるEstrogen receptor a(ERa)の治療標的としての新たな可能性:ERaシグナル経路とHedgehog経路とのクロストーク (2009)
  • 著者名/発表者名: 亀田千津
  • 学会等名: 第22回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: スイスホテル南海大阪
  • 年月日: 2009-11-27
• [学会発表] Hedgehog(Hh)シグナル系を標的とした「乳癌幹細胞」制御療法の可能性 (2009)
  • 著者名/発表者名: 田中晴生
  • 学会等名: 第22回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: スイスホテル南海大阪
  • 年月日: 2009-11-27
• [学会発表] 乳がん組織におけるHedgehogシグナル活性化に及ぼす術前化学療法の影響:乳がん幹細胞療法への応用 (2009)
  • 著者名/発表者名: 甲斐昌也
  • 学会等名: 第22回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: スイスホテル南海大阪
  • 年月日: 2009-11-27
• [学会発表] :膵癌のhedgehog(Hh)シグナル系に及ぼす低酸素環境の影響 (2009)
  • 著者名/発表者名: 森崎隆史
  • 学会等名: 第22回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: スイスホテル南海大阪
  • 年月日: 2009-11-27
• [学会発表] Estrogen receptor alpha(ER alpha) signaling pathway is a new therapeutic target in ER alpha-positive gastric cancer : a possible crosstalk between ER and hedgehog signaling pathways (2009)
  • 著者名/発表者名: Kameda C
  • 学会等名: GASTRO 2009 UEGW/WCOG
  • 発表場所: London, United Kingdom
  • 年月日: 2009-11-24
• [学会発表] Novel peptides stabilizing tumor-suppressor ptched-1 control thegrowth of hedgehog pathway dependent cancers (2009)
  • 著者名/発表者名: Tanaka H
  • 学会等名: 40th East Meets West
  • 発表場所: Honolulu, Hawaii
  • 年月日: 2009-11-07
• [学会発表] 乳がん幹細胞を標的とした蛍光免疫染色法による簡易抗がん剤感受性試験法開発の可能性 (2009)
  • 著者名/発表者名: 甲斐昌也
  • 学会等名: 第47回日本癌治療学会学術集会
  • 発表場所: パシフィコ横浜
  • 年月日: 2009-10-24
• [備考]
  • URL: http://www.tumor.med.kyushu-u.ac.jp/