研究概要 |
■抗血管新生療法による拒絶反応抑制効果 これまでに虚血再灌流障害や急性拒絶反応がVEGF受容体抗体により抑制し得ることはすでに発表してきた.さらに慢性拒絶反応やその他の動物移植モデルにおいてその効果を検討するとともに,前年度に得られた治療標的候補因子に対するモノクロナール抗体を用いて,それらの特異的阻害が,移植後の拒絶反応を抑制し,生着延長効果をもたらすかを検討し,抑制効果を確認した.また,endostatin等の血管新生阻害作用を有する薬剤を用いて,拒絶反応制御効果を判定するとともに,長期のグラフト機能評価,前述の治療標的候補因子の動態変化についても検証中である. ■血管新生促進による細胞・臓器生着および組織修復促進効果 細胞移植や臓器移植において,血管新生を促進することにより安定した移植グラフトの生着や長期にわたる機能保持の達成が可能かを検討している.血管新生促進物質としては,Erythropoietinを用いて,腸管炎症障害モデルにおいて組織修復改善,促進効果を確認した.現在機序の解析をさらにすすめている. 上記の研究成果は,従来型の免疫抑制法とは異なる新たな治療法の開発につながる可能性があり,既存の免疫抑制剤抵抗性拒絶反応や特に慢性拒絶反応に対する治療法に応用発展し得ることが期待できる.さらに細胞・臓器生着を能動的に促進するとともに障害を受けた組織に対する修復促進効果が期待できる点からもその意義は大きいものと考える.
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