研究課題
大動脈瘤は原因不明の致死的疾患である。本研究では大動脈瘤分子病態の中心である慢性炎症と細胞老化に果たすIL-6系の役割を解明し、その機能を制御する画期的治療法開発を目指す。本研究は、IL-6が大動脈瘤におけるマスター・サイトカインであるとの仮説検証を通じて、慢性炎症および細胞老化制御による理想的な大動脈瘤の退縮・治癒療法の開発を目的とする。目的1)ヒト大動脈瘤組織におけるIL-6系の機能解明目的2)大動脈瘤病態モデルにおけるIL-6系の機能解明目的3)血管平滑筋およびマクロファージにおけるIL-6系の機能解明平成21年度には、以下の検討を実施した。JAK阻害薬の存在下または非存在下でヒト大動脈瘤培養組織にIL-6を添加し、発現分子の変化から炎症、細胞老化、ECM代謝に及ぼす影響を検討した。マウス大動脈周囲にCaCl_2を塗布することで慢性炎症を惹起し、大動脈瘤を形成する動物モデル系を確立した。このモデルを用いて、IL-6系の活性と老化、炎症、ECM代謝関連分子の時間・空間的相関を検討した。炎症刺激が加えられた後、IL-6系シグナル(STAT3リン酸化)は急性期と慢性期に2峰性の活性化を示し、おのおのの時期で異なる役割を果たしている可能性が示唆された。これを検討するために、SOCS3遺伝子座にloxPを組み込んだマウスと、組織特異的Creリコンビナーゼ発現マウスとの交配による、組織特異的SOCS3ノックアウトマウスの作成を開始した。
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http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/kucri/index.html