研究概要 |
遊離肝癌細胞により再発、転移が起こることを証明してきた。しかし、陽性でも再発しないもの、逆に陰性でも再発するものが存在した。一方、最近の研究により遊離癌細胞が存在するのみでは癌の転移は成立せず、特別な癌細胞側因子と宿主側因子が必要であると考えられるようになってきた。特別な癌細胞側因子に多分化能と自己複製能を持つ、いわゆる癌幹細胞がその役割を担うのではないかと推察され、宿主側因子として注目されているのが骨髄前駆細胞や血管内皮細胞等である。原発の肝細胞癌における癌幹細胞の存在をCD133による免疫染色から証明するために初回根治的肝切除を行った136例の病理検体を用いてCD133免疫染色を施行し腫瘍細胞の染色陽性率,染色パターンを検索した.染色性が得られた検体をさらに細胞膜陽性,細胞質陽性群に分類し、臨床病理学的因子および再発,予後との関連を単変量、多変量解析から検討した.同時に大腸がん切除例でもCD133免疫染色を施行し腫瘍細胞の染色陽性率,染色パターンを検索した.肝細胞癌においてCD133陽性腫瘍細胞を1個以上認めたものを陽性とするとCD133細胞質発現のうち最も有力な予後不良因子であった.大腸癌でもCD133発現は予後に関与し、発現パターンごとの検討ではCD133細胞質発現は腫瘍の生物学的悪性度に関与しCD133細胞膜発現では予後と抗癌剤の対する効果に関与した。肝細胞癌の切除後の再発様式につき、詳細に検討し、切除術式ごとでの差異についても検討した。
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