研究課題/領域番号 |
21390369
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
神山 俊哉 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (80322816)
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研究分担者 |
中西 一彰 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任助教 (80374338)
横尾 英樹 北海道大学, 大学病院, 医員 (70399947)
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キーワード | 遊離癌細胞 / 癌幹細胞 / CD133 / 肝細胞癌 / 大腸癌 |
研究概要 |
遊離癌細胞が存在するのみでは癌の転移は成立せず、特別な癌細胞側因子と宿主側因子が必要である。宿主側因子として注目されているのが骨髄前駆細胞である。遊離癌細胞に関しては、肝細胞癌切除患者のreal time PCRで検出した骨髄中、末梢血中AFPmRNAを遊離肝癌細胞の指標として、臨床病理、病理組織学的因子、再発、予後の詳細な調査を行った。その結果、骨髄中AFPmRNAは、組織学的門脈侵襲と有意に相関し、組織学的分化度と有意傾向があった。末梢血中AFPmRNAは血中AFP値、腫瘍数、組織学的門脈侵襲、組織学的肝静脈侵襲と有意に相関した。また、単変量解析で、骨髄中AFPmRNA、末梢血中AFPmRNAは、ともに1年以内の早期再発と有意に相関することが分かった。宿主側因子として注目されている骨髄前駆細胞についてはVEGFR1陽性骨髄由来細胞が、癌転移成立に際して、premetastatic nicheの形成に関与し、転移巣を形成すると言われているため、そのVEGFR1陽性骨髄由来細胞を骨髄液中、末梢血中のVEGF-R1mRNAで測定し、臨床病理、病理組織学的因子、再発、予後の詳細な調査を行った。また、骨髄液中、末梢血中AFPmRNAとの相互関係に関しても検討した。肝細胞癌患者の骨髄液中VEGF-R1mRNAは、正常コントロールに比べ、全例高値を示し、末梢血中VEGF-R1mRNAもほとんどの症例が正常コントロールに比べ、全例高値を示した。このことは担癌状態になると、premetastatic nicheの形成が行われ癌転移成立の準備状態となると思われた。骨髄液中、末梢血中のVEGF-R1mRNAだけでは、単変量解析で1年以内の早期再発と有意に相関せず、骨髄中AFPmRNAと関係し、骨髄液中VEGF-R1mRNA陽性かつ骨髄中AFPmRNA陽性症例が、最も再発しやすかった。
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