研究課題
基盤研究(B)
1.大腸癌肝転移機構の解析:大腸癌原発巣と肝転移巣の腫瘍細胞におけるmicro RNA(miRNA)発現をmicroarrayにて比較検討した。肝転移巣で最も発現が亢進していたmiR-122に注目。miR-122は肝特異的miRNAとして報告されており、腫瘍細胞においてmiR-122発現が亢進することで、転移先(肝)の微小環境に適応している可能性が示唆された。miR-122の代表的な標的遺伝子であるcationic amino acid transporter 1(CAT1)タンパクの発現を原発巣と肝転移巣で比較し、肝転移巣で有意なCAT1発現低下を認めた。さらに原発巣におけるCAT1タンパクの発現低下を認めた症例は、術後無肝転移再発期間が有意に短縮していた。以上より、miR-122発現亢進に伴うCAT1タンパク発現低下が大腸癌肝転移形成促進に寄与している可能性が示唆された。2.胃癌における脂質異常の解析: MALDI-TOF-MS質量顕微鏡観察をヒト胃癌の切除標本に対して行い、非腫瘍部の粘膜に比べ腫瘍病変部においてphosphatidylcholine(16 : 0, 18 : 1)が豊富に存在することを明らかにした。PhosphatidylcholineのremodelingはLands' cycleと呼ばれる代謝経路によって行われており、lysophosphatidylcholineをアシル化してphosphatidylcholineを合成する酵素としてLPCAT1が同定されている。このLPCAT1は大腸癌病変部において正常粘膜と比べて過剰に発現していることが報告されており、われわれの実験でもLPCAT1が胃癌病変部において強く発現することが示された。さらに未分化型に比し分化型でphosphatidylcholineおよびLPCAT1発現が強かった。胃癌発癌過程におけるLPCAT1高発現とこれに伴う脂質代謝の変化が、胃癌の臨床病理学的特徴を規定している可能性があり、さらに癌の悪性化や転移機構に関与している可能性も示唆される。
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