研究課題
平成22年度は、GFP標識マウスの脾臓にRFP標識大腸癌細胞株を接種する大腸癌肝転移モデルにおける二光子励起顕微鏡下生体内リアルタイムイメージング法を確立した。RFP標識大腸癌細胞株はAnticancer社から購入した。われわれの方法によりRFP標識癌細胞が、肝類洞内に接着、停止する像、血小板凝集を伴って肝類洞内で停止する像、肝類洞からDisse腔へ形態変化と伴いながら浸潤する像などが600倍以上の倍率でとらえられることが可能となった。生きた癌細胞が、生きたマウスの生きた肝臓内でどのように転移巣を形成するかが観察可能となったことで、現在、大腸癌肝転移における癌幹細胞振る舞いや癌幹細胞の上皮間葉移行の関与の検討に着手している。異種移植肝転移モデルだけでなく、アゾキシメタン(Azoxymethane:AOM)/デキストラン硫酸ナトリウム(Dextran sulfate sodium:DSS)誘発自然発生大腸癌細胞を用いた同種移植肝転移モデルを用いることで、癌幹細胞や上皮間葉移行における腫瘍-宿主相互作用の関与も検討中である。以上、研究計画を鋭意進めるだけでなく、癌幹細胞や上皮間葉移行に関連する臨床研究も平行して行い、国内外の学会や論文等で精力的に発表を行っている。
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