研究課題
進行肝細胞癌に対するIFN併用化学療法の作用機序について検討した。特に本年度は、本療法の抗腫瘍効果の機序の中で、治療効果予測因子と抗血管新生作用関連、に焦点を絞り、in-vivo、in-vitroの両面より検討した。治療効果予測因子については、肝癌細胞株PLC/PRF/5にIFN-αを持続的に曝露してIFN-α耐性株を作成し,樹立した耐性株と親株の網羅的遺伝子発現解析を行った。樹立した耐性株では,親株と比較してIFN-αに対する耐性が増強し、耐性株と親株の網羅的遺伝子発現解析の結果より,耐性株において発現が有意に低下している遺伝子としてInsulin-like growth factor binding-protein 7 (IGFBP7)を同定した。さらに、親株にIGFBP7 shRNAを導入するとIFN-αに対する薬剤耐性の増強を認め、耐性株にIGFBP7を強制発現させると、IFN-αに対する薬剤耐性の減弱を認めた。このことより、IFN-α/5-FU併用化学療法の耐性にはIGFBP7が関与している可能性が高く、IGFBP7は治療効果予測マーカーになり得ると考えられた。また、抗血管新生作用関連では、nude mouseヒト腫瘍移植モデルやマウス同種腫瘍移植モデルを使用し、腫瘍内における血管新生因子(TSP、Ang、VEGF、Tie2など)のmRNAレベル(定量的RT-PCR法)及び蛋白レベルでの発現量の評価(免疫組織染色、ELISA法)を施行した結果、IFNおよび5FUは、各種血管新生関連因子(TSP、Ang、VEGF、Tie2など)の発現調節を介して、肝癌細胞に対して増殖調節能を有することが明らかになった。
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