研究概要 |
(1)早期肝癌検出システムの開発 1)セルフリーDNAの定量法の確立:セルフリーDNA量に影響を及ぼす因子の解明を行い、末梢血からの血清回収条件および血清からの安定したセルフリーDNAの抽出、定量法を確立した。 2)血中短鎖・長鎖セルフリーDNAの測定法の確立:短鎖・長鎖セルフリーDNAを測定し、integlityを求めるために、GSTP1遺伝子をターゲットとした測定系を確立した。 3)定量的メチル化測定法による血中メチル化遺伝子の同定:肝癌において明らかにメチル化している7遺伝子(RASSF1,CCND2,SPINT2,RUNX3,GSTP1,APC and CFTR)を用いて、これらメチル化遺伝子が定量的に測定できることを確認した。健常者、慢性肝炎、肝硬変、肝癌患者の末梢血にて、7種類のメチル化遺伝子の比較を定量的に行い、肝癌において各メチル化遺伝子が高値であることを観察した。 (2)早期肝癌診断システムの開発 高分化型肝癌30サンプル、中・低分化型肝癌30サンプルとHCV感染肝40サンプルの計100サンプルで53遺伝子の発現解析を行い、我々独自のアルゴリズム(Fisher criterion; Cancer Res 2002, Lancet 2003)を用いて、ランキングを行い高分化型肝癌と非癌部肝臓との識別に有用な遺伝子5個程度までに絞り込みを行った。HCC患者112例、肝炎患者146例を用いて、血中のメチル化遺伝子(SPINT2,SRD5A2)と腫瘍マーカー(AFP,PIVKA-II)の4因子を組み合わせるバイオマーカーを確立した。新たなHCC258例での本バイオマーカーのaccuracyは84.6%,sensitivityは72.2%,specificityは87.7%であり、極めて良い性能を示した。
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