研究課題/領域番号 |
21390384
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 行延 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20451700)
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研究分担者 |
平松 祐司 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30302417)
揚山 直英 独立行政法人医薬基盤研究所, 霊長類研究所, 研究員 (50399458)
榊原 謙 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60192085)
徳永 千穂 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30451701)
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キーワード | 呼吸器外科 / 心臓血管外科 / 病態生理学 / 体外循環 / 肺障害 / 白血球 / 骨髄 |
研究概要 |
1.研究成果内容: (1)研究2年目に確立した、BrdU(100mg/kg i.v)で標識した骨髄由来白血球(好中球・単球)の体内動態をフローサイトメトリーを用いた手法で解析するカニクイザル体外循環モデルを用い、3年目の目的として、医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター内の実験施設において、人工心肺装置装着、体外循環による骨髄刺激、および肺組織への白血球動員、集積の評価実験を引き続き行った。 (2)BrdUの連続静注(50mg/kg i.v x5days)しカニクイザル(Adult male;B.W.5kg)の骨髄前駆細胞を標識、レシピエントに輸血し、その血中での減衰曲線から半減期を求め、白血球の骨髄通過時間を算出した。 2.意義と重要性: (1)体外循環で惹起される白血球活性化と肺への動員集積に関して、体外循環刺激により骨髄から循環血中に放出された白血球が肺に集積し、これらが体外循環術後肺傷害の病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。白血球の血中半減期、骨髄通過時間の結果から、ヒトとの相同性を示しサルの実験動物として妥当性を証明した。 (2)上記内容・結果につき、2011年度日本胸部外科学会定期学術集会(名古屋)において発表し、優秀演題(SA-03)に採択された。 3.今後の研究展開: 研究最終年度として、医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター内の実験施設において、確立したカニクイザル体外循環モデルを用いて、活性化白血球に対する薬理学的制御効果の検証を目的とした実験を継続し、白血球に対する複合的薬理効果による炎症機転制御効果を検証し、in vivo体外循環による骨髄刺激、および肺組織への白血球動員、集積の評価、総括を行い、学会と論文で発表研究成果の発表を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響で、主に以下の二点で時間的、資金的に計画遅延した。 (1)筑波大学施設内、動物実験センターにおけるウサギ骨髄中白血球前駆細胞標識モデルを用いたin vitro実験(膜型人工肺を使用した模擬体外循環回路)が不足し、当初複合的薬理制御を担うとして群分けしたステロイドの併用効果はウサギ基礎実験で証明されず、サルモデルでの検証に至っていない。 (2)カニクイザル体外循環を行う霊長類医科学研究センター内の実験施設の稼動が節電にて10月以降となった。
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今後の研究の推進方策 |
(問題点と対策):東日本大震災の影響とその後の節電対策で計画遅延した。当該研究期間内(~平成24年度)で補充することは時間的、資金的にも困難であり、鑑みて今回、研究計画最終年度前年度の応募申請を行った。本研究では新たに、血管内皮細胞上トロンビン受容体であるトロンボモジュリンの抗炎症作用に着想し群分けした。トロンボモジュリンはHMGBI蛋白の捕捉を介して好中球活性化抑制作用、抗炎症作用を発揮する事が近年示されたが、骨髄への影響、またCPB術後肺傷害予防に関する知見はない。加えて、当初研究の成果としてモデルの妥当性が証明・評価され、平成23年度より医薬基盤研究所霊長類医科学研究センターからのより安定的な本実験用サル供給が実験計画とともに承認されるに至り(承認番号DS23-16)、これを踏まえ今回、新たに内容を再構築、発展的に継続し、今後の研究環境を是非に維持したいと考えている。
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