研究課題
今回われわれは、まず左室形成術後のリモデリングが遠隔期成績を悪化させると考え、未だ明らかにされていなかったβ遮断薬投与の効果を検証した。ラット不全心モデル(心筋梗塞)に左室形成術を施行した後、カルベジロールを投与(20mg/kg/day or 50mg/kg/day)すると、4週後において線維化、心筋内TGF-β1のmRNAの発現は容量依存性に抑制され、心筋内8NPのmRNA発現も抑制された。これらは左室形成術後の高容量β遮断薬の投与が遠隔期左室リモデリングの抑制に効果的である可能性が示唆された。また、自己免疫性拡張型心筋症発症後6週経たラット不全心を、健常ラットの腹部大動脈に異所性移植したモデルを用いて、長期補助循環が及ぼす生理学的、組織学的変化の検討を行った。長期補助循環は心収縮力を改善し、カテコラミンに対する反応性の上昇を認めた。ところが、補助循環群において乳頭筋の拡張時間は延長し、心筋線維化の範囲およびTUNEL染色陽性細胞数の増加を認めた。これらより長期補助循環は拡張能を悪化させ、また心筋のアポトーシスを助長するという結果を得た。拡張型心筋症に対する長期補助循環は「橋渡し」としての役割は果たすが、心筋に対しては悪影響を及ぼしていることを示しており、今後さらなる検討が必要と考えられた。
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Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery
巻: Oct;140(4) ページ: 916-922
European Journal of Cardiothoracic Surgery
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