研究課題/領域番号 |
21390385
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂田 隆造 京都大学, 医学研究科, 教授 (20325781)
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研究分担者 |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40281092)
南方 謙二 京都大学, 医学研究科, 助教 (60539675)
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キーワード | 拡張型心筋症 / 左室補助心臓 / 異所性心移植 / 細胞移植 / 左室形成術 |
研究概要 |
我々は前年度までに、自己免疫性拡張型心筋症ラットの不全心を、健常ラットの腹部大動脈に異所性移植したモデルを用いて、長期補助循環が及ぼす生理学的、組織学的変化の検討を行ったところ、長期補助循環が心収縮力を改善し、カテコラミンに対する反応性を上昇させることを示した一方、長期補助循環は拡張能を悪化させ、心筋のアポトーシスを助長するという結果を得た(Muranaka H et al.J Thorac Cardiovasc Surg.2010)。以上より拡張型心筋症に対する長期補助循環は「橋渡し」としての役割は果たすが、心筋に対しては悪影響を及ぼしていると考えた。また同時に我々は、左室形成術後のリモデリングに対するβ遮断薬投与の抑制効果を示した(Yoshikawa E et al.Eur J Cardiothorac Surg.2010)。このことは長期補助循環に何らかの心保護的薬剤治療を併用することにより、心筋への悪影響を抑えることができる可能性を示している。本年度は、サイトカイン徐放を拡張型心筋症ラットに行うことで、心筋自体への悪影響を抑えられるかどうかを検討した。 肝細胞増殖因子(HGF)は強い抗線維化・抗アポトーシス作用を有することが知られているが、半減期の短さから投与方法に工夫を要する。今回我々はHGF含浸ゼラチンハイドロゲルの自己免疫性拡張型心筋症ラット不全心表面への局所投与により、心筋障害を抑えられるか検討したところ、投与群において心機能の回復を認め、アポトーシス及び線維化抑制の傾向を認めたことから(未発表)、長期補助循環へのサイトカイン徐放併用という戦略は有望であると考え、さらに検討を進める予定である。
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