研究課題/領域番号 |
21390391
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
美甘 章仁 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (30372709)
|
研究分担者 |
濱野 公一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60263787)
林 雅太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00554057)
|
キーワード | 心筋再生 / メカニカルストレス / 再生医療 / 幹細胞 |
研究概要 |
心臓内にも心筋幹細胞と増殖する細胞の存在が認められ、自己再生修復能力をもつことが示されている。その臨床事例として、Left Ventricular Assist Device (LVAD)が装着された重症心不全患者でしばしば心機能の回復が認められ、LVADから離脱できる症例が挙げられる。そうした心機能回復の要因としては、LVAD装着によって左室に加わるメカニカルストレスの減少により内部の環境が改善され、内因性再生が促進されたことが推察される。そこで、本研究ではメカニカルストレスに着目して、内因性心筋再生のメカニズムを解明することを目的とした。23年度は、メカニカルストレスが幹細胞に及ぼす影響について検討した。マウス心筋梗塞を作製直後にドナー心として摘出し、別の正常なマウスの腹腔内に移植することで、梗塞心のメカニカルストレスを軽減した。なお、心筋梗塞モデル作製後にSham開腹したマウスをメカニカルストレス群とした。両群の障害心の梗塞領域に心筋幹細胞(GFP陽性)を移植して細胞生着を比較すると、メカニカルストレス群では細胞生着が低下していることが分かった。また、細胞増殖(Ki67陽性)も低下していた。次に、心筋幹細胞の進展培養を行うことで、メカニカルストレスの影響をin vitroで調べた。進展刺激によるメカニカルストレスによって心筋幹細胞の細胞増殖(Ki67陽性)が抑制される一方で、アポトーシス(TUNEL陽性)は増加していた。また、VEGF、FGF、IL-1・などの液性因子の産生が増大しており、心筋(Troponin)や平滑筋マーカー(Smooth muscle actin)を発現する細胞数が増大していた。以上の結果から、メカニカルストレスは幹細胞の増殖や分化、液性因子の産生などに影響を及ぼすことが示唆された。これらの影響は、内因性心筋再生に寄与することが考えられる。
|