研究課題
臍帯血細胞移植による未熟肺血管床の発育に関する2年目研究を行った。まず、前研究として、8週齢雌性C57/BL6マウスを用いてmonocrotaline (MCT)誘発肺血管閉塞性病変を作製し、4週後に経静脈的な同種骨髄単核球細胞移植により、VEGFの発現を介して、肺血管床の増加によって末梢肺循環を改善し、肺高血圧を改善することを見いだした。2年目研究では、8週齢免疫欠損マウス(BALB/c Slc- nu/nu(homo))肺高血圧モデルを対してヒト臍帯血細胞を異種移植して、肺血管床の改善度を評価した。本施設倫理委員会の承認を得、かつ、本研究に対する同意を得た産婦の分娩時にヒト臍帯静脈血を採取し、効果的な細胞数に調整し、CD34+細胞の豊富なmediumを作製したが、その肺血管床改善に最も効率の良い細胞濃度を決定し、このヒト臍帯血細胞を免疫欠損肺高血圧マウスの眼窩静脈より異種移植し、4週後をend pointとして、肺血管の新生、再生に伴う肺血管床の改善を得られるか検討した。Sham群、MCT投与のみ群、MCT+臍帯血細胞投与群、MCT+臍帯血血漿投与群、MCT+臍帯血細胞+血漿投与群の5群間で比較検討した。肺血管床の改善度は、右室心筋重量比、肺動脈数、中膜/外径比による評価とともに、マウス心エコー法で肺動脈血流波形を解析し、加速時間acceleration time : ATと駆出時間ejection time : ETの比AT/ETから評価した。その結果、臍帯血細胞投与群と臍帯血細胞+血漿投与群でのみ、BALB/c Slc- nu/nu(homo)肺高血圧モデルの肺高血圧病変が改善した。つまり、臍帯血細胞移植による成熟肺血管床は改善した。
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