研究課題/領域番号 |
21390398
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
武輪 能明 独立行政法人国立循環器病研究センター, 人工臓器部, 室長 (20332405)
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研究分担者 |
巽 英介 独立行政法人国立循環器病研究センター, 人工臓器部, 部長 (00216996)
妙中 義之 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 副所長 (00142183)
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キーワード | 心筋再生療法 / 遺伝子導入 / 重症不全心 / カチオン性合成ベクター / 遺伝子デリバリー法 / SERCA2a / 左心補助循環 / 定常流ポンプ |
研究概要 |
(1)心不全モデルでの遺伝子導入の効果の検討 a)SERCA2a遺伝子導入による心臓の機械的仕事およびエネルギー効率の評価 心筋再生療法のうち、SERCA2a遺伝子導入による心機能の回復について評価した。 ラットに全身麻酔後気管内挿管による人工呼吸下腹部大動脈-下大静脈シャントを作成し容量負荷による拡張型心不全モデルを作成する。3ヶ月後にSERCA2a遺伝子を、合成ベクターまたはアデノウィルスベクターを用いて経冠動脈的に心筋内に遺伝子導入した(SERCA2a群)。他に無治療対照群を設けた。1週間後に心筋を摘出し血液交叉灌流法を用いて、全心臓の機械的仕事とエネルギー効率の観点から詳細に検討した。左室圧、左室圧容量曲線、収縮性の酸素コスト等は、SERCA2a遺伝子導入群で有意に改善した。 (2)大動物心不全モデルでの補助循環下遺伝子治療法の効果の検討 全身麻酔下、右頸動脈よりカテーテルを挿入し,透視下に左冠動脈前下行枝内にマイクロスフェア(粒子径は50μm)を注入(LCXが見えずDxlが見える位置)し,微小梗塞をびまん性に作成した。同時に右室ペーシングカテを留置し,2日後よりラピッドペーシング(200-220bpm)を追加して,安定した慢性心不全モデルを作成した。全身麻酔下左開胸下で拍動型捕助人工心臓を装着した。同時に心筋にSERCA2aを遺伝子導入した。補助循環のみで、遺伝子導入を行わない群を対照として比較した。4週間後犠牲死させ、経時的な局所心機能の改善効果と遺伝子導入された心筋の組織学的検討を行ない、遺伝子導入を併用した群が遺伝子導入を行わない群に比べ心筋能が回復する傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)心不全モデルでの遺伝子導入の効果の検討 ラットを用いた、SERCA2a遺伝子導入による心臓の機械的仕事およびエネルギー効率の評価を計画通り進展している。 (2)大動物心不全モデルでの補助循環下遺伝子治療法の効果の検討 成ヤギを用いた、心不全モデルを計画通りに施行し、補助循環と遺伝子治療を併用した。 ほぼ予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ラットを用いた心不全モデルでの遺伝子導入の効果の検討と、 (2)大動物心不全モデルでの連続流型補助人工心臓装着による心筋再生効果の検討を、さらに進めて例数を増やし、単独治療群、併用群での治療効果の比較を行う。
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