研究課題
従来の治療法で治療しえない重症心不全に対する心筋再生治療法の研究開発は急務である。平成21年度においては、我々が開発してきた新規の脂肪組織幹細胞を心筋芽細胞へと分化させる技術を基盤とし、脂肪組織幹細胞由来再生心筋芽細胞シートの高機能化をはかった。ヒトにおける臨床利用においては移植後虚血による機能減弱が予想される。そのため、血管内皮細胞を使った高機能化再生心筋芽細胞シート作成を試みた。血管内皮細胞と脂肪組織由来再生心筋芽細胞の同時投与において、心筋梗塞モデルラットの心機能を検討したところ、心駆出率ならびに左室拡張末期径に有意な改善を認めた。次いで、前下降枝結紮重症心不全モデルブタを用いた。当該ブタに脂肪組織幹細胞由来再生心筋芽細胞シート化しで移植、8週後に心臓超音波検査を実施するとともに、犠牲死させ組織学的検索を行った。心臓超音波検査における心駆出率に関して検討したところ、シート移植群では約30%から8週後には45%にまで改善していた。一方でシート非移植コントロール群では、28%から8週後には31%であり、シート移植群では有意な改善を認めた。左室拡張末期径および左室収縮末期径に関して比較検討したところ、移植後8週において両指標ともにシート移植群では非移植コントロール群と比較して減少を認めており、心不全の指標となる心拡大の軽減作用があることが明らかとなった。組織学的検討では、脂肪組織幹細胞由来再生心筋芽細胞シート移植群では、移植した細胞が移植後in situにて心筋へと分化生着していることが明らかとなった。平成22年度以降、より高機能化した脂肪組織幹細胞由来再生心筋芽細胞シートの作製を試みる。
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J Atheroscler Thromb. Mar 9.([Epub ahead of print])
Tissue Eng Part A. Oct 28.([Epub ahead of print])
Tissue Eng Part C Methods. Jul 22.([Epub ahead of print])