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2010 年度 実績報告書

腫瘍幹細胞維持機構の解明を通じたグリオーマの治療抵抗性克服と根治に向けた取組み

研究課題

研究課題/領域番号 21390402
研究機関山形大学

研究代表者

北中 千史  山形大学, 医学部, 教授 (70260320)

研究分担者 根本 建二  山形大学, 医学部, 教授 (10208291)
キーワードグリオーマ / 幹細胞 / 治療耐性
研究概要

従来の検討により、PI3K、mTORの阻害薬は単独でもある程度幹細胞抑制効果を示すものの、両者の併用がより効果的であることを確認している。さらにPI3K、mTORの同時阻害がグリオーマ幹細胞の造腫瘍能に与える影響をPI3K、mTORのdual inhibitorであるNVP-BEZ235を用いて検討したところ、
NVP-BEZ235は予想通りグリオーマ幹細胞に分化を誘導したが、この分化細胞を薬剤のwash out後にヌードマウス皮下ないし頭蓋内に移植したところ、皮下では腫瘍増大の抑制が、頭蓋内では腫瘍増大の抑制ならびに生存期間の延長が観察された。これらの結果はPI3KとmTORの同時阻害によりグリオーマ幹細胞の幹細胞形質ならびに造腫瘍能を効果的に抑制できることを示しており、PI3K、mTORのdual inhibitorがグリオーマ幹細胞を標的とした治療戦略上有用である可能性を示唆するものである。その一方、PI3K、mTORのdual inhibitorをもってしても造腫瘍能の抑制は部分的であることから、グリオーマ幹細胞の維持にはPI3K/mTOR以外の細胞内シグナル伝達が関与している可能性が示唆された。そこでPI3K/mTOR経路とならんでグリオーマで異常活性化が知られているMAPK経路の関与について検討を行ったところ、MEK阻害剤によりグリオーマ幹細胞の分化が誘導されること、MEK阻害剤により前処理されたグリオーマ幹細胞をヌードマウス脳内に移植するとコントロール細胞を移植した場合に比べてマウスの生存期間が延長することなどが明らかになった。これらの結果はMAPK経路もまたグリオーマ幹細胞の維持に関与している可能性を示唆している。そこでさらにPI3K、MAPK両経路の下流で機能する分子を探索した結果、転写因子FoxO3aの関与が明らかになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Dual blocking of mTor and PI3K elicits a pro-differentiation effect on glioblastoma stem like-cells2010

    • 著者名/発表者名
      Sunayama J, Sato A, Matsuda KI, Tachibana K, Suzuki K, Narita Y, Shibui S, Sakurada K, Kayama T, Tomiyama A, Kitanaka C
    • 雑誌名

      Neuro-Oncol

      巻: 12 ページ: 1205-1219

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of neural stem/progenitor cell maintenance by PI3K and mTOR2010

    • 著者名/発表者名
      Sato A, et al
    • 雑誌名

      Neurosci Lett

      巻: 470 ページ: 115-120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of stem cell marker CD133 expression with dissemination of glioblastomas2010

    • 著者名/発表者名
      Sato A, et al
    • 雑誌名

      Neurosurg Rev

      巻: 33 ページ: 175-183

    • 査読あり
  • [学会発表] フリーラジカル産生を超えた、ミトコンドリアと腫瘍の新たな関係2010

    • 著者名/発表者名
      北中千史
    • 学会等名
      日本分子脳腫瘍学会
    • 発表場所
      仙台(艮陵会館記念ホール)(招待講演)
    • 年月日
      20100800

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公開日: 2013-06-26  

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