• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

腫瘍幹細胞維持機構の解明を通じたグリオーマの治療抵抗性克服と根治に向けた取組み

研究課題

研究課題/領域番号 21390402
研究機関山形大学

研究代表者

北中 千史  山形大学, 医学部, 教授 (70260320)

研究分担者 根本 建二  山形大学, 医学部, 教授 (10208291)
キーワードグリオーマ
研究概要

昨年度までの検討によりPI3K、mTORのdual inhibitorがグリオーマ幹細胞を標的とした治療戦略上有用である可能性を明らかにしてきた。その一方、PI3K、mTORのdual inhibitorをもってしても造腫瘍能の抑制は部分的であり、グリオーマ幹細胞の維持にはPI3K/mTOR以外の細胞内シグナル伝達が関与している可能性が示唆されたことをキッカケにMAPK経路もまたグリオーマ幹細胞の維持に関与している可能性を明らかにしてきた。そこで次にこれら両経路がどのような分子機序によりグリオーマ幹細胞の幹細胞としての性質を維持しているかにつき検討を行った。その結果、以下のようなデータから、核内転写因子FOXO3が両経路からのシグナル伝達の標的となっていることが明らかとなった。まずFOXO3をノックダウンすると両経路の阻害による分化誘導が見られなくなったことから、FOXO3が両経路阻害によるグリオーマ幹細胞の分化誘導に必須の役割を果たしていることが示された。さらに、FOXO3はPI3K経路のAkt、MAPK経路のERKによりリン酸化を受けるアミノ酸配列を有しているが、これらの2つのリン酸化部位のいずれかがリン酸化させた状態ではFOXO3は細胞質に係留され核内に移行できないことも明らかになった。逆に両部位のリン酸化が失われた状態ではFOXO3は核内に移行して活性化状態となり、グリオーマ幹細胞の分化を誘導するとともにその腫瘍形成能を失わせることが示された。以上の所見よりグリオーマ幹細胞はFOXO3を不活性状態に維持することで幹細胞状態を保っていると理解できるようになった。このことはまたFOXO3を活性化できる薬剤がグリオーマ幹細胞治療薬として有用である可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] FoxO3a functions as a key integrator of cellular signals that control glioblastoma stem-like cell differentiation and tumorigenicity2011

    • 著者名/発表者名
      Sunayama J, Sato A, Matsuda KI, Tachibana K, Watanabe E, Seino S, Suzuki K, Narita Y, Shibui S, Sakurada K, Kayama T, Tomiyama A, Kitanaka C
    • 雑誌名

      Stem Cells

      巻: 29 ページ: 1327-1337

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Establishment of a novel monoclonal antibody SMab-1 specific for IDH1 R132S mutation2011

    • 著者名/発表者名
      Kaneko MK, Tian W, Takano S, Suzuki H, Sawa Y, Hozumi Y, Goto K, Yamazaki K, Kitanaka C, Kato Y
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 406 ページ: 608-613

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MEK-ERK signaling dictates DNA-repair gene MGMT expression and temozolomide resistance of stem-like glioblastoma cells via the MDM2-p53 axis2011

    • 著者名/発表者名
      Sato A
    • 雑誌名

      Stem Cells

      巻: 29 ページ: 1942-1951

    • DOI

      10.1002/stem.753

    • 査読あり
  • [学会発表] Glioma stem cell – Dissecting the molecular mechanism involved in the maintenance of stem-like glioblastoma cells for future application to glioblastoma treatment -2011

    • 著者名/発表者名
      Kitanaka C
    • 学会等名
      The 24th International Symposium on Cancer Research
    • 発表場所
      National Cancer Center (Tokyo)
    • 年月日
      20111123-20111123
    • 招待講演
  • [学会発表] グリオブラストーマ克服を夢見て脳神経外科専門医が迷い込んだ道 ~グリオーマ幹細胞研究を中心に~2011

    • 著者名/発表者名
      北中千史
    • 学会等名
      第3回山梨脳腫瘍研究会
    • 発表場所
      甲府富士屋ホテル(甲府)
    • 年月日
      20111021-20111021
    • 招待講演
  • [学会発表] 腫瘍幹細胞仮説はグリオブラストーマに根治をもたらすか?2011

    • 著者名/発表者名
      北中千史
    • 学会等名
      第70回日本脳神経外科学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      20111013-20111013
    • 招待講演
  • [学会発表] Molecular pathways involved in the maintenance and differentiation of stem-like glioblastoma cells2011

    • 著者名/発表者名
      Kitanaka C
    • 学会等名
      第70回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋)
    • 年月日
      20111003-20111003
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳外科専門医が基礎医学研究者になってしまった理由(わけ)2011

    • 著者名/発表者名
      北中千史
    • 学会等名
      筑波大学大学院人間総合科学研究科医学セミナー
    • 発表場所
      筑波大学(筑波)
    • 年月日
      20110603-20110603
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi