研究課題
G47Δは腫瘍特異的なウイルス複製能に優れ且つさ安全性が高い第三世代の遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)で、平成21年度より再発膠芽腫患者を対象とした臨床研究が開始された。本研究は、G47Δの基本骨格に外来遺伝子を直接組み込んで特殊機能を有する遺伝子組換えHSV-1を作製して脳腫瘍治療に応用する。可溶型マウスB7-1を発現するHSV-1(T-mB7.1-Ig)を作製して、低免疫原性のNeuro2a神経芽腫細胞のマウス皮下腫瘍に投与したところ、低用量でも特異的抗腫瘍免疫を惹起して高い抗腫瘍効果を示した。更に、基質依存的に発光するCBRルシフェラーゼを発現する遺伝子組換えHSV-1(T-luc)を作製した。Neuro2aもしくはU87MGの皮下腫瘍モデルにT-lucを腫瘍内投与してIVISで評価したところ、腫瘍に限局して長期のルシフェラーゼ発現が見られ、A/Jマウスでは投与後7日間、ヌードマウスでは14日間以上検出された。U87MG皮下腫瘍を有するヌードマウスへの尾静脈内疫与では、まず肝臓に高いルシフェラーゼ発現を観察するものの1日で消失し、一方腫瘍では数日後に発現ピークを迎えて15日以上検出可能であった。また、hTERTプロモータで制御したICP6遺伝子をG47Δの基本骨格に挿入して、緩徐に発育する腫瘍でも高いウイルス複製を示す全腫瘍型HSV-1 (T-hTERT)を作製した。腫瘍の成長が早いU87MGの皮下腫瘍では、T-hTERTは対照ウイルスT-O1と同じ効果を示したが、成長の緩徐なOS-RC2やDU145の皮下腫瘍では、T-hTERTがT-O1に比べ高い治療効果を示した。G47Δの実用化を見据えて、次世代の脳腫瘍ウイルス療法の開発が進んでいる。
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